必要だと分かっていてもいざとなると、終活は何からどうやって取り組むべきか、よく分からない方は多いでしょう。
近年、もしものときや死後に向けて、家族や周囲に迷惑をかけないよう、事前に終活に取り組んでおくことは一般常識になりつつあります。
そもそも終活とは、就職活動における就活と同じように、『人生の終わりのための活動』の略語で、その由来は2009年に行われた週刊朝日の連載コラム(現代終活事情)に遡ります。
かつては生前に死を想像するのは不謹慎という考え方もありましたが、現在は決してそのようなことはありません。
とはいえ、終活でやるべきことは全10項目もあり、知識を伴う難しい課題があるのも事実です。
そこで、終活でやることリスト10項目と、終活をすべき理由や、スムーズに進めるためのコツについても分かりやすく解説します。
これから取り組む方も、一度は取り組んで挫折してしまった方も、確実に終活をやり遂げられるよう、どうぞ参考になさってください。
終活をするべき理由4つ
終活をするべき、4つの理由をご紹介します。
- ・葬儀での家族の手間や費用負担を大幅に軽減できる
- ・老後の不安へ対策ができる
- ・人生を振り返ることで価値観を見直すことができる
- ・余生の計画をして納得のできる人生を送れる
葬儀での家族の手間や費用負担を大幅に軽減できる
生前のうちに終活をすることによって、家族や周囲の人たちの手間や費用負担を大幅に軽減することが可能です。
人は終末を迎えると、医療や介護が必要になり、亡くなった後は葬儀や納骨のほか、役所手続きや遺品整理など、やるべきことが多くあります。
2024年1月に実施された『終活をする理由』の調査結果によると、終活は家族に迷惑をかけたくないといった理由が全体の6割を占めていることが判明しました。
- ① 家族に迷惑をかけたくないから:60.2%
- ② 病気や怪我、老化などで寝たきりになった場合に備えるため:26.9%
- ③ 自分の人生の棚卸し、整理をしたいから:22.5%
なお、同調査では20代・30代の若い人たちを含めて、「終活は家族に迷惑をかけないために必要なことである」と思う人が約72%を占めていることも発表されています。
老後の不安へ対策ができる
健康で元気なうちに終活で老後の対策を行っておけば、いざ高齢になってからも慌てることなく、お金の問題や医療・介護における課題に対処できます。
老後の年金暮らしには不安な方も多いと思いますが、実際に老後生活に「不安感あり」と回答した人は82.2%。多くの人がお金の問題や健康に不安を抱えていることが分かりました。
出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(生命保険文化センター)
高齢になると、住まいや働き方など、さまざまなことに不自由を感じやすくなります。既に対処している場合でも、加入している保険の見直しなどが必要なケースもあるでしょう。
健康で元気なうちに老後を想定して対策しておくと、いざというときにも安心です。あらゆる場面で問題が生じないよう、万全な対策を心がけてください。
人生を振り返ることで価値観を見直すことができる
終活により人生を振り返ることで、自分の考え方や気持ちを整理でき、価値観を見直すことができます。
人には喜怒哀楽という感情があり、譲れないこだわりもありますが、長い人生では未練や後悔もつきもの。年齢とともに、気持ちにも変化が生じるでしょう。
改めてこれまでの人生を振り返ってみると、家族や周囲の人たちとの付き合い方や、物事に対する考え方や価値観を見つめ直すことができます。
とくに、終活に際して自分の持ち物や身の回りの整理をし始めると、人生で必要な物や大事な物がよく分かり、物事への価値観に変化が生じやすいです。
悟りを開くという仏教用語がありますが、終活はまさしく執着心を捨てて、物事を冷静に判断できるようになる機会でもあります。
余生の計画をして納得のできる人生を送れる
終活によって、自分の老後や死後の計画を立てて実行することは、納得できる人生を送ることに繋がります。
2022年の調査結果によると、自分の老後生活に「不安感あり」と回答した人は82.2%と、多くの人がお金の問題や健康に不安を抱えています。
しかし、介護保険制度や高額医療制度や地域の支援制度など、高齢者向けの支援サービスはさまざまあるため、大切なのは正しい知識を習得して、便利な制度を有効活用することです。
不安を解消して、満足のできる生涯を送れるようにするためには、ぜひ終活に取り組み、後悔のない人生を送りましょう。
終活を上手に進めるコツとは?
終活にはやるべきことが多くありますが、的確かつスムーズに進めるためにはコツがあり、次の4つのポイントを押さえることがおすすめです。
- ・エンディングノートを活用する
- ・手順を踏まえて進める
- ・完遂することを目標に戸惑ったときは後回しにする
- ・定期的に見直すことを習慣にする
エンディングノートを活用する
終活にあたっては、ぜひエンディングノートを活用しましょう。
エンディングノートとは終活ノートとも呼ばれ、自分の情報や死後に役立つ手続きなどに必要な事項を分かりやすくまとめておく便利なツールです。
終活によって取り組んだ内容を上手にまとめて記載できるため、ぜひ併用活用するようにしましょう。
なお、エンディングノートは市販されているほか、地域によっては地域包括支援センターや役所で無料で配布している場合もあります。
エンディングノートのページ数や内容はそれぞれ異なりますので、お好みに合わせて選んでください。
手順を踏まえて進める
終活で無駄な手間を省いて、スムーズに進めるには、手順を踏まえる必要があります。具体的な項目と手順は後ほど詳しく解説しますので、ぜひ参考になさってください。
なお、終活で優先して着手することと、後回しにすることのポイントは次のとおりです。
【優先すること】
- ・簡単なこと
- ・想像しやすいこと
- ・効果を体感しやすいこと
【後回しにすること】
- ・難しいこと
- ・利用料が生じること
完遂することを目標に戸惑ったときは後回しにする
終活で大切なのはやり遂げることです。完遂することを目標にして、迷ったり悩んだり戸惑ったことには後回しにして、別の事項に取り組みましょう。
一つの項目をこなすのにも手間と時間がかかるため、終活は途中で嫌になって断念してしまう方も少なくありません。
効率よく進めるためには、着手しやすい項目から取り組むのもスムーズに終活を進めるコツの一つです。
また、月々の利用料や年間利用料などの費用負担が発生することも後回しにして、終活によってリスクが発生しないようにご注意ください。
定期的に見直すことを習慣にする
一通り終わった後も、終活で取り組んだ内容は定期的に見直して、必要があればエンディングノートの内容を訂正することを習慣にしましょう。
エンディングノートはいざというときに家族や周囲の人が本人に関する情報を把握するときに役立つ一方で、間違いや不備があると混乱をきたします。
自分自身の備忘録としても活用できるため、常に最新情報を記載しておくように維持しましょう。
終活のやることリスト10項目
終活では10項目について取り組む必要があるため、効率よくスムーズに着手できるよう、手順を踏まえてご紹介します。
【終活のやることリスト10項目】- ① 身辺整理
- ② 住まいの方針決定
- ③ 介護や終末医療の方針決定
- ④ 葬儀の準備
- ⑤ お墓の準備
- ⑥ 認知症やお金の管理の対策
- ⑦ 財産の整理
- ⑧ 相続や遺言書の準備
- ⑨ 緊急時や孤独死の対策
- ⑩ 余生の計画
① 身辺整理
終活で誰もが最優先でやっておくべきことは、身辺整理です。身辺整理とは、持ち物や身の回りの部屋の片付け、パソコンやスマートフォンや保存データの整理のことをいいます。
近年は20代・30代の間でも終活の認知は深まり、プライベートの情報流出に備えたいという方が増加しているため、若い方にとっても必要な取り組みといえるでしょう。
亡くなった方の荷物を遺品と呼ぶように、IT機器のことはデジタル遺品とも呼び、最近はデジタル遺品におけるトラブルが多く聞かれるようになりました。
パソコンやスマートフォンの機器へのログイン情報や、SNSや有料会員などの利用状況、退会手続きにあたってアカウントやパスワードが分からないといった問題です。
キャッシュレス決済やインターネットバンキングを利用する方も増える一方で、デジタル遺品の整理はとても重要で、利用サイトやアプリ、ログイン情報などをまとめておく必要があります。
また、家族や周囲の立場では、遺品整理にあたって私物が多いほど、片付けに労力を要し、処分するにも費用が発生するため、気をつけなければならなりません。
高齢になると大型家具や家電の処分が難しくなるうえ、大切な物をより大事に保管してゆくためにも、不要な物は早めに処分しておいてください。
② 住まいの方針決定
高齢になったときの住まいに関しては、なるべく早いうちにどのようにするか家族へ相談のうえ方針を決定して、費用の用意をできるようにしておきましょう。
子どもとの同居や近居をしたい方や、家族へ負担をかけないように介護施設や高齢者専用の住居で暮らしたいなど、将来の理想の住まいは人それぞれ異なります。
住み慣れた我が家でずっと暮らしてゆくためにも、リフォームや改修などが必要なケースもあるでしょう。
自分の勝手な判断で家族が困らないようにするためにも、先々はこうしたいという意向を伝えて、家族と一緒に方針を決定することがおすすめです。
③ 介護や終末医療の方針決定
万一のときの介護や終末医療における方針は、健康なうちに自分の希望を家族や周囲に伝えておきましょう。
とくに認知症による症状の悪化や意識のない段階では、家族としてもどのように接して、延命治療をどうするべきなのか、医師との方針決定にあたって精神的な負担が大きくなります。
また、たとえ健康に寿命を全うする場合でも、最期の看取りケアは不可欠です。家族が介護をするのか、介護士へ委ねるのか、家族へ相談して決めておくと安心です。
なお、近年は本人の希望を尊重し、家族や医療・ケアチームで繰り返し話し合う『人生会議』の取り組みが重視されています。
人生の最終段階の医療やケアについて考えたことがある人は、一般国民のうち51.9%を占めると言われていますが、なかなか話し合いの機会が設けられていないのが実態です。
出典:令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について(厚生労働省)
終活を機に、ぜひ家族や周囲との話し合いの場を作り、お互いの考え方への理解を深めておきましょう。
④ 葬儀の準備
終活では死後に必要なことの一つとして、家族の負担にならないよう、葬儀の生前準備を行っておきましょう。
葬儀の生前準備には積立金制度の活用がたいへん便利で、お得な特典が用意されているケースも多くあります。契約内容まで確認して、安心できる積立金制度を選んでください。
なお、葬儀の費用は葬儀プランや人数などによって異なり、葬儀社によっては追加費用が大きい場合もあるため、具体的な見積を取得しておくことが最良です。
理想の葬儀を行うためには、遺影写真や好きな花や好きな音楽などをエンディングノートに記載し、希望を明確にしておくと良いでしょう。
さらに、訃報を伝える人の連絡先リストを作成して、家族がスムーズに連絡できるように用意しておくことが大切です。
⑤ お墓の準備
生前のうちにお墓を用意することを『寿陵(じゅりょう)』といい、縁起が良いこととされています。寿陵は、遺される家族の負担軽減にもつながるため、近年は、お墓の生前準備をする方がたいへん増えています。
お墓には墓石を建立するタイプや、納骨堂、樹木葬などのさまざまなタイプがあり、最近は霊園やお寺などに長きにわたって供養してもらえる永代供養墓が人気です。
代々継承する個別のお墓もあれば、費用を抑えて他の人たちと一緒に遺骨を埋葬する合祀(ごうし)と呼ばれる納骨方法もあるため、理想のお墓を比較検討すると良いでしょう。
とはいえ、お墓によっては年間管理費などの維持費が必要になり、早くから準備すると費用負担がネックになるケースもあるためご注意ください。
⑥ 認知症やお金の管理の対策
認知症は誰もが患う可能性があり、高齢化が進む日本では、2023年6月14日に『共生社会の実現を推進するための認知症基本法(認知症基本法)』が制定されたのをご存知でしょうか。
出典:共生社会の実現を推進するための認知症基本法(厚生労働省)
65歳以上の認知症高齢者は2012年に15%でしたが、2025年には20%を占めると言われており、いよいよその時期を迎えようとしています。
認知症になると、記憶によるトラブルのみならず、日常生活にも影響を及ぼし、悪化すると誤嚥などの健康被害もきたすため、健康なうちに対策しておくと安心です。
法的に支援を行う成年後見制度や、家族に管理を託す家族信託や民事信託など、対策はさまざまありますが、とくにお金の管理はどのようにするか、早めに検討しておきましょう。
⑦ 財産の整理
遺産相続では相続人の手間を省くため、複数の預金口座がある方はなるべくまとめるようにして、土地や建物を含めて財産を整理のうえ、すべてリスト化しておくのがおすすめです。
10年以上、長く利用していない預金口座は『休眠口座』となってしまうためご注意ください。
また、不動産においては本年4月1日から登記の義務化が始まりましたが、相続人のためにも、名義人・所有権または借地権・担保設定者の有無を一覧にまとめておきましょう。
さらに、高齢になると犯罪に巻き込まれるリスクも高まるため、振り込め詐欺や強盗などには気を付けなければなりません。
出典:「振り込め詐欺」にはどのようなものがあるでしょうか…?(金融庁)
終活では大切な財産を整理して、きちんと守ってゆけるよう、改めてお金の管理方法を見直すことが重要です。
⑧ 相続や遺言書の準備
遺産相続にあたっては、生きているうちに生前贈与を行うことも可能なため、相続人や相続税を加味して、どのような相続方法が最良なのかを検討し、必要であれば遺言書を準備します。
遺言書は遺書とは異なり、作成にあたってルールがあり、規定に従って作成しなければ無効になってしまうため気をつけなければなりません。
出典:知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方(政府広報オンライン)
終活でゆとりのある方は、自分で作成することも可能なため、保管方法や開封にあたっての家族の検認方法まで確認のうえ、ご自身で取り組んでみても良いでしょう。
出典:遺言書の検認(裁判所)
⑨ 緊急時や孤独死の対策
家族と同居していれば安心ですが、家族と離れて暮らしている方や身寄りのない方は、万一の緊急時や孤独死の対策が必要です。
仕事があるうちは勤務先が異変に気づいてくれると思いますが、数日程度なら無断欠勤だからといって、職場が家族へ連絡をしたり調査をしたりするようなケースは少ないでしょう。
そのため、家族や友人とは、連絡をこまめに取り合うことを重視するのが最良です。
また、もしものときは誰に連絡をして入院手続きや必要品の買い出しなどを支援してもらうのか、あらかじめ検討して相手にもお願いしておきましょう。
また、地域によっては、地域包括支援センターで見守りサービスなどを実施しているほか、定期的に自宅を巡回する支援サービスなどもあるため、不安な方は活用するのもおすすめです。
⑩ 余生の計画
終活では、終活終了後、納得できる人生を送ることが何よりの醍醐味です。そのためには、できるだけ計画を立てて、充実した毎日を過ごしましょう。
楽しみややりたいことに取り組むことは、生きがいに繋がる一方で、健康面では運動や食生活のほか、衛生的な暮らしも意識することが大切です。
年金暮らしともなると、お金の工面にお困りの方もいらっしゃると思いますが、各自治体では、高齢者向けのイベントや活動にも注力しています。
地域コミュニティへ参加することで、寂しさを感じずに楽しい老後を送っている方も多いため、ぜひ行政や地域の情報をチェックしてみてください。
まとめ:弘善社はエンディングノートを無料送付!終活でやることを全面サポート
終活でやることリスト10項目と、終活をすべき理由や手順とコツについてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・終活は、「家族の負担軽減」「老後の不安への対策」「納得できる人生を送る」などを目的として行う。人生を振り返ることは価値観を見直すメリットにも繋がる。
- ・終活を的確かつスムーズに進めるためには、「エンディングノートを活用し、完遂することを目標に手順を踏まえて着手する」「戸惑う事柄については後回しにする」などのコツがある。完了後は定期的に見直す習慣も大事。
- ・終活のやることリスト10項目と順序は、①身辺整理、②住まいの方針決定、③介護や終末医療の方針決定、④葬儀の準備、⑤お墓の準備、⑥認知症やお金の管理の対策、⑦財産の整理、⑧相続や遺言書の準備、⑨緊急時や孤独死の対策、⑩余生の計画となる。
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