生前に葬儀の準備をするにはコツがあり、失敗や後悔を防ぐには、できるだけ元気なうちに着手した方が良いのをご存知ですか?
最近は若者にとっても生前の「終活」は常識となり、20~69歳で生きているうちに死後の準備をする意向のある人は、71.8%を占めていることが判明しました。
出典:終活に関する調査(楽天インサイト)とはいえ、終活では荷物や財産などの身辺整理を優先するケースが多く、葬儀の準備は後回しや疎かになりがちなためご注意ください。
葬儀代の支払いを含めて、家族や親戚へ大きな負担をかけないようにするには、生前の葬儀の準備が必要です。
そこで本記事では、失敗や二度手間を防いで、スムーズに葬儀の準備を進める方法について手順を解説します。
生前の葬儀の準備は、葬儀費用を抑える効果も大きいため、大切なお金の節約のためにもぜひ参考になさってください。
生前に葬儀の準備をするメリット5つ
生前に葬儀の準備をしておくと、次の5つのメリットが得られます。
- ・家族や周囲の負担を軽減できる
- ・家族や親戚との絆を大事にできる
- ・理想の葬儀を実現できる
- ・葬儀費用を削減できる
- ・余生にゆとりをもてる
家族や周囲の負担を軽減できる
生前に葬儀の準備をしておくと、万一の死亡時にも家族や親戚など、周囲の負担を軽減することが可能です。
身近な人が亡くなると、家族などの近親者は葬儀社へ依頼をして病院などからご遺体を搬送し、訃報案内のうえ、お通夜や葬儀・告別式といったお葬式を行います。
喪主や遺族の立場では、葬儀社やお寺などとの打合せから、参列者への接客応対や葬儀後の挨拶回りに至るまで、気遣いが絶えずに時間や費用も必要です。
葬儀費用は地域や葬儀プランや人数などで異なりますが、北海道の調査結果によると、最多の価格帯は50~100万円、続いて100~150万円となっています。
出典:【2023年】北海道の葬儀の種類と葬儀代やお布施の平均費用の調査結果(北のお葬式)
家族や親族などの周囲のことを思えば、葬儀の準備を済ませておくのは「この世に命を授かった自らの義務」と考え、その責任を果たすべきともいえるでしょう。
家族や親戚との絆を大事にできる
生前のうちに葬儀の準備を済ませておくと、身内のトラブルを回避でき、家族や親戚との絆を大事にしやすいです。葬儀や供養によって、亡くなった人や祖先を大事にする昔ながらの習慣は、命の尊さを学び、豊かな心を育む良い機会になります。
とくに、子どもや孫たちにとっては、葬儀や供養の知識やマナーに触れて社会勉強になるため、たいへん貴重な経験となるでしょう。
一方で、葬儀社や斎場選びのほか、どんな葬儀プランで誰を呼ぶのかなど、家族同士や親族間で意見の食い違いによって、揉め事になるのはとても悲しいことです。
まして、葬儀費用を誰が出費するのかというお金の問題では、家族ゲンカや親戚トラブルに発展しかねませんので注意しましょう。
理想の葬儀を実現できる
葬儀の生前準備にあたっては、何をするべきなのかをきちんと把握することで、自らの葬儀をイメージしやすく、理想を実現できます。
実は、葬儀に対して「理想やこだわりはない」と思っている方の多くは、具体的な必要事項が把握できていない傾向にあるためご注意ください。
たとえば、もし今すぐに『訃報を伝える相手』や『遺影写真』を決定しなければならないとなると、要望のある方が多いのではないでしょうか。
また、映像やスライドショーなどの演出など、生前の準備なら葬儀へのこだわりを実現できるのも大きなメリットです。
「自分の葬儀はしなくていい」と思っている方もいらっしゃると思いますが、家族や親戚にとっては一生思い出に残る大事なお別れの儀式です。
近年は家族や親戚などの少人数で行う家族葬が人気を集めていますが、周囲にとって、悔いや未練の残るお別れにならないことも意識しましょう。
葬儀費用を削減できる
生前のうちにゆとりをもって葬儀の準備をすれば、さまざまな葬儀の比較検討や内容の見直しができ、無駄な出費を抑えて葬儀費用を削減することができます。
実際、葬儀費用が高額で困るようなトラブルは、急なお葬式で慌ててしまうことや、故人の死に直面して冷静な判断ができないケースに起こりやすいです。
また、葬儀ではご遺体を大事に取り扱い、真心を込めて葬送を行ってくれる葬儀社を選ぶことや、最後のお別れにふさわしい斎場を選ぶことも大切です。
葬儀費用のみならず、より良い葬儀社や斎場を選ぶためにも、葬儀の準備はしっかりと時間をかけて検討するべきといえるでしょう。
余生にゆとりをもてる
生前の終活によって葬儀やお墓などの準備を済ませておけば、家族や親族に対する心配事も無く、ゆとりのある余生を過ごしやすくなります。
また、生前の終活が浸透して一般的に行われつつある中で、葬儀の準備をしないことで、「無責任な人だった」とみなされてしまうのは、虚しく寂しい人生です。
将来ゆっくりと有意義な暮らしを送るためにも、家族や周囲から責任感の強い立派な人だったと思われるためにも、葬儀など死後への備えは大切な取り組みとなります。
葬儀の生前準備に最適な時期とは?
葬儀の準備を行う時期は、しっかりとした思考力があり、下見として斎場の事前見学ができるよう、できるだけ元気なうちに済ませておくのがおすすめです。
人は加齢とともに思考能力や判断力は低下してしまい、高齢になると認知症や病気による通院や入院のリスクが高まります。
性別 | 平均寿命 | 健康寿命 |
男性 | 81.05歳 | 72.68歳 |
女性 | 87.09歳 | 75.38歳 |
病院を頼らずにいられる『健康寿命』を踏まえると、60代のうちに済ませるのが目安ですが、一人暮らしなら50代、健康に自信のない方は早期に取り組んでください。
というのも、孤独死の平均年齢は男性62歳・女性61歳と、平均寿命より約20年も短命であることが報告されています。
また、65歳では5人に1人が認知症になるともいわれており、若年性認知症の発症年齢は平均51.3歳という若さです。
出典:若年性認知症 (厚生労働省)死後の準備をしておけば、いざ通院や入院などが必要になった場合でも、安心して治療や介護に専念できるため、健康なうちに完遂するようにしましょう。
生前の葬儀準備での注意点3つ
生前の葬儀準備では失敗や後悔をしないよう、気を付けなければならない3つの注意点があるため、事前に把握しておきましょう。
- ・葬儀については家族へ相談する
- ・不明点や悩み事は葬儀社へ相談する
- ・葬儀関係の書類は発見しやすい場所へ保管する
葬儀については家族へ相談する
家族の意向を確認せずに事前準備をしてしまうと、計画が無駄になる可能性もあるため、斎場選びや葬儀プランなどは家族へ相談して決定しましょう。 葬儀について話し合っておけば、家族としても万一のときに慌てることなく葬儀社へ連絡をして、対処しやすくなります。不明点や悩み事は葬儀社へ相談する
葬儀について不明点や悩み事があれば、葬儀社へ積極的に相談して、しっかりと問題を解消しましょう。 疑問や不安が残ったままにしておくと、いざ葬儀を行う遺族が問題を継承してしまうことになりかねません。 喪主として葬儀を取り仕切る人の立場になって、とくに葬儀費用に関することは課題を残さないようにしておくことを心がけてください。葬儀関係の書類は発見しやすい場所へ保管する
家族が探しやすいよう、葬儀に関する見積書や契約書や会員証などの書類は、きちんと整理をして分かりやすい場所へ保管しましょう。 書類の保管場所や、葬儀に関する必要事項をまとめるには『エンディングノート』を利用するのが便利です。 必要項目は葬儀社へ相談するのも一つの方法ですが、葬儀社や担当者名や連絡先をはじめ、宗教やお付き合いのある宗教者の情報などを箇条書きでまとめましょう。葬儀の生前準備をする手順6つ
生前の葬儀準備は次の6つの手順で行うと、費用を抑えてスムーズに進められます。
- ①複数の葬儀社への資料請求と見積取得
- ②家族や葬儀社への相談と斎場見学
- ③葬儀内容と葬儀費用の決定
- ④葬儀費用の確保
- ⑤参列者や訃報連絡先リスト作成
- ⑥遺影写真の準備
① 複数の葬儀社への資料請求と見積取得
葬儀について検討する際は、最初に複数の葬儀社へパンフレットの資料請求を行い、比較検討のうえ、気になる葬儀プランの見積取得を行いましょう。
斎場や品目の写真と、料金プランを実際に確認すると、葬儀について無知な方でも具体的にイメージしやすくなります。
② 家族や葬儀社への相談と斎場見学
葬儀がイメージできたら、家族や葬儀社への相談や詳細確認を行います。このとき、斎場は事前に見学しておくことが失敗しない葬儀社選びの大切なポイントです。
事前の斎場見学はとても重要で、施設・設備の下見はもちろん、参列者のための交通アクセスの確認や、葬儀社の接客応対などをチェックすることができます。
③ 葬儀内容と葬儀費用の決定
納得のできる葬儀社が見つかったら、葬儀内容に関して品目や人数に過不足がないかどうか、再見積によって費用を確認のうえ決定します。
この際、祭壇や生花や音楽などの演出や、返礼品の選定など、こだわりがあれば要望を伝えておきましょう。誰に喪主をしてもらうかを決めておくことも大切です。
④ 葬儀費用の確保
葬儀費用は、葬儀以外にも通夜振る舞いや精進料理の飲食代やお布施が必要です。さらに葬儀後は、法要や納骨の費用も必要なため、ゆとりをもって確保しましょう。
生前に準備をするなら、月々少ない費用を積み立てられるうえ、通常よりもお得に葬儀ができるため、『葬儀の積立金制度』を活用するのがおすすめです。
⑤ 参列者や訃報連絡先リスト作成
葬儀の準備では、列席してもらう参列者や、訃報通知をする相手の連絡先をリストアップしてまとめておくと、喪主や家族が速やかに案内できます。
葬儀は参列者の人数によって、利用できる式場も異なれば、飲食代や返礼品も変動するため、参列者を明瞭にしておくと予算との差異を防ぐことが可能です。
⑥ 遺影写真の準備
生前の葬儀の準備では、ぜひ遺影写真の用意も行っておきましょう。遺影写真は祭壇で使用するほか、葬儀後も火葬場や後飾り壇でお祀りします。
遺影写真はお気に入りの写真を選んで編集加工することも可能ですが、専用の写真を改めて撮影して、USBメモリやSDカードへ保存しておくのもおすすめです。
まとめ:生前の葬儀準備や葬儀の積立金は無料相談を利用しましょう!
生前に葬儀の準備をするコツについて、事前準備のメリットや注意点と、6つの手順を解説しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・生前に葬儀の準備を済ませておくと、家族や周囲の負担を軽減でき、葬儀費用も削減できるほか、自分の理想の葬儀を実現でき、余生にゆとりをもつことができる。
- ・生前に葬儀の準備を終わらせるのは60代を目安に、一人暮らしなら50代、健康に自信のない方はさらに早めに取り組むと安心できる。
- ・葬儀については家族や葬儀社へ事前に相談し、葬儀関係の書類はいざというときに発見しやすい場所へ保管する。
- ・葬儀の生前準備の手順にはポイントがあり、斎場の事前見学によって葬儀社の接客応対まで確認することと、ゆとりをもって葬儀費用を確保しておくと良い。
弘善社では、定期的なイベント開催により葬儀の無料相談や斎場見学会を実施。便利でお得な『コープの家族葬つみたて制度』のご案内や生前予約も承っています。
家族がおらず、親戚付き合いもなく、身寄りのない方でも「死後事務委任契約」を行えば、第三者へ葬儀や死後の手続きをしてもらうことが可能です。
弘善社では、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家との連携により、死後のあらゆる手続きや遺産相続のご相談にも対応しているため、何なりとご相談ください。