人生最後のセレモニーとなる葬儀では、故人の好きな花や色合いを取り入れた演出をして、素敵な雰囲気で故人を見送ってあげたいですね。
葬儀でお花を使用するのには理由があり、亡くなってから葬儀を終えるまで、全部で6種類ものお花の用途があるのをご存知でしょうか?
花祭壇や供花は誰もが想像しやすいと思いますが、実はそれ以外にもお花を使用するシーンはあり、ご存知のようにお花にはそれぞれ花言葉もあります。
そこで本記事では、葬儀に最適なお花選びのコツとして、花の用途や相場費用、花言葉などの知識を分かりやすくまとめて解説します。
おすすめの花もご紹介しますので、お花にこだわりたいご遺族から、供花やお悔やみの花を贈りたい方まで、お別れやご供養にふさわしいお花選びにぜひお役立てください。
葬儀で花を使用する理由は3つある
葬儀や供養で花を使用するのには主に3つの理由があります。
宗教的な意味や役割があるため
宗教 | よく使用する花や植物 | 理由 |
仏教 | 菊 | 高貴で日持ちが良く枯れても花びらが散乱せずに邪気を払う |
神道 | 榊(さかき) | 穢れや邪気を払い空間を清める効果がある |
キリスト教 | 白百合 | 聖母マリアのシンボルとされ清らかな優しさを持つ |
葬儀で特定の花や植物が選ばれるのには、上記のように宗教的な意味や役割があるためです。
花には故人の霊を慰める効果があるともいわれており、葬儀後もお仏壇やお墓、亡くなった場所の献花台などへ花を手向けます。
なお、日本で行われる葬儀は約9割が仏式です。結婚式はキリスト教式が約半数を占めているといわれる一方、最新の調査によると、初詣や祈願による参拝のためか神道の信者率が最多です。
宗教 | 信者数 | 信者率 |
神道系 | 83,371,429人 | 48.4% |
仏教系 | 81,069,419人 | 47.1% |
キリスト教系 | 1,246,742人 | 0.7% |
諸教 | 6,545,257人 | 3.8% |
小計 | 172,232,847人 | 100% |
お葬式は、宗教的な信仰心で行うというよりも、昔ながらの風習として行われるケースが多いため、仏教や神道の方の葬儀では洋花も多く使用されています。
気になる場合は、お付き合いのあるお寺や神社へ見解を確認されたうえで、葬儀社へ相談すると良いでしょう。
故人へ弔意を表すため
亡くなった方へ花を贈ることには、故人を偲んで哀悼の意を表すという意味合いがあります。
葬儀では遺族側も参列者側も供花を贈ることができるので、体調不良などで参列できない方が故人への弔意を示すために贈ることも可能です。
また、近年は少人数で行う家族葬が人気で、最新の調査結果によると、葬儀全体の5割が家族葬を占めているため、葬儀へ参列したくてもできない方が増えている傾向にあります。
出典:【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年) アフターコロナで葬儀の規模は拡大、関東地方の冬季に火葬待ちの傾向あり
供花やお悔やみの花は、連名や団体名で送ることができるので、友人や知人と話し合って複数名で一緒に贈るのも良いでしょう。
遺族への労りや慰めの気持ちを届けるため
葬儀で贈る花には、故人のみならず、遺族に対して労りや慰めの気持ちを伝える役割もあります。
供花は式場を華やかに彩る役割があるとともに、遺族や親族の悲しみや苦しみを和らげる効果もあります。
故人やご遺族の自宅へ贈るお悔やみの花には、美しい見た目や優しい香りで 心を癒す効果 があるため、大切な人を亡くした方に寄り添い、励ます気持ちを込めてお花を贈るのも、素敵な選択といえるでしょう。
葬儀の花は全部で6種類ある
葬儀の花は全部で6種類あります。そのうちの3種類はお悔やみの花として参列者側が贈ることができる花です。ここでは葬儀の流れに沿って花の用途や相場費用を解説します。
順序 | 種類 | 贈る花 | 相場費用 |
1 | 枕花 | 〇 | 約5,000〜2万円 |
2 | 花祭壇や式場の装飾 | × | 約30〜120万円 |
3 | 葬儀の供花 | 〇 | 約1〜3万円 |
4 | お別れ花 | × | 約1〜5万円 |
5 | 棺上花 | × | 約1〜2万円 |
6 | 後飾りの供花 | 〇 | 約5,000〜1万円 |
①枕花:約5,000〜2万円

人が亡くなると、葬儀までの期間は故人の傍に、供養に必要な仏具や神具、お供え物を並べますが、その際に、枕花と呼ばれる花も一緒に飾ります。
枕花は、葬儀プランに含まれている場合もあれば、遺族が用意する場合もあります。
枕花は訃報を聞いた方が贈ることもできるので、いち早く弔意を示したい方は枕花を手配するとよいでしょう。
ただし、近年は斎場の安置施設や霊安室にご遺体を安置するケースが多いことや、遺族が枕花を速やかに受け取れるとは限らないことから、安置状況や遺族の都合を確認する必要があります。
②花祭壇や式場の装飾:約30〜120万円

近年の葬儀では花で装飾した「花祭壇」と呼ばれる祭壇が人気です。花祭壇は、遺影写真の周囲や焼香台なども花で装飾します。また、希望があれば式場内や看板を花で装飾することも可能です。
花祭壇は、故人のイメージの表現や、お葬式の演出に最適な祭壇で、亡くなった方が好きだった花や好きな色の花を用いることが多くあります。
花の種類やデザイン、レイアウトなどにこだわりたい場合は、専門の生花スタッフが在籍している葬儀社を選び、事前にしっかりと打ち合わせましょう。
どのような花祭壇がいくらの費用でできるのが、過去の実績や具体的な事例を紹介してもらうと、イメージしやすく参考になります。
③葬儀の供花:約1〜3万円

葬儀で代表的な花となるのが供花です。供花は遺族側も参列者側も出すことができます。体調不良などの事情で葬儀に参列できない方も、供花を贈ることで、お悔やみの気持ちを伝えることが可能です。
供花は祭壇の周りを装飾するように陳列しますが、装飾の方法は斎場や祭壇のイメージによっても異なり、基本的に式場全体の雰囲気を重視して配置されます。
たとえば、すべての供花を一定の種類や色の花で統一している中に1基だけ違うイメージの供花が陳列されると、大きな違和感が生じてしまいます。
個人で用意した供花によって、式場の雰囲気に違和感を生じさせることのないよう、供花は葬儀を行う葬儀社に依頼することをおすすめします。
④お別れ花(棺の中へ入れる花):約1〜5万円

葬儀の告別式では、出棺前の最後のお別れのときに故人の顔や体を囲うようにして、お別れ花を棺の中へ入れる花入れの儀式を行うことが一般的です。
お別れ花には供花を活用することもありますが、家族だけなど少人数の家族葬では供花が集まりにくく、寂しいお別れになってしまう場合があります。
葬儀社によっては、供花が少ない葬儀や花にこだわりたい方のために、花入れ用のお別れ花を用意しているケースもあります。気になる場合はぜひ確認してください。
弘善社の葬儀ではオプションとして、「おわかれ花」と、故人の手元へ飾る「エンディングブーケ」をご用意しております。
参考:弘善社のお別れ花
⑤棺上花(棺の上へ乗せる花束):約1〜2万円

葬儀によっては、出棺に向けて棺の蓋を閉めた後、棺の上に棺上花(かんじょうばな)や出棺束(しゅっかんたば)と呼ばれる花束を乗せて火葬場で一緒に火葬する場合があります。
棺上花は、お通夜や葬儀・告別式といった儀式を行わずに火葬のみを目的とした直葬や火葬式といった葬儀プランに含まれているケースもあります。
お別れ花や棺上花のように、火葬する花やラッピングは、遺骨への損傷や着色、大気汚染などへの影響を防ぐ目的でルールが定められていることが多くあります。
ご遺体の火葬時のルールは火葬場によって異なりますので、花だけでなく、副葬品などの種類や材質にも注意しましょう。
⑥後飾りの供花:約5,000〜1万円

葬儀後は、故人の遺骨や遺影写真などを自宅に持ち帰ります。
仏式では四十九日法要やお墓の準備が整うまでの間、後飾り壇に安置します。その際、供花(仏花)や仏具、供物をお供えして、故人を供養します。
同じように、神道では五十日祭、キリスト教のカトリックは30日の追悼ミサ、プロテスタントは1ヶ月目の召天記念日までの間、自宅で供養するのが一般的です。
葬儀後は無宗教のご家庭でも遺骨や遺影写真に花を供えることが一般的で、遺族にとって後飾りの供花は必需品となります。
葬儀の際に花の注文が間に合わなかった場合や、亡くなったことを知らなかった場合は、後飾りの供花を贈ることで、弔意を伝えるという方法もあります。
葬儀後の供養でも花は必需品
お仏壇やお墓に花立てがあることからもわかるように、故人を供養するうえで仏花は欠かせない存在です。四十九日を迎えた後も、一周忌や三回忌といった法事・法要、故人の命日に、心を込めて花を手向け、供養を続けていきます。
仏花は左右1対として、3・5・7本などの奇数に活けるのが良いと言われていますが、多数あっても問題ないため、お仏壇のある自宅を訪れる際やお墓参りではぜひ持参しましょう。
お仏壇やお墓参りの仏花の相場費用は約2,000〜5,000円ですが、日常の供養向けなら数百円から販売されている安い仏花でも問題ありません。
なお、墓地やお寺へ遺骨を供養してもらえる近年人気の永代供養墓や納骨堂では、個別に仏花をお供えできないケースもあるため、あらかじめお参り方法を確認しておくと安心です。
また、お仏壇や墓石は花粉が付着するとシミになってしまうため、ユリなど花粉が出やすい仏花をお供えする際は、あらかじめ花粉をよく振り落としてください。
葬儀に最適な花の種類と花言葉
葬儀に最適な花の種類や、花色ごとの花言葉についてご紹介しますので、ぜひ故人への想いを花に託して形にしましょう。
百合(ユリ)

- 花言葉:純粋・無垢・威厳
- 原産地:日本・西部アジア・ヨーロッパ・北アメリカ
- 色:白・ピンク・オレンジ・黄色・紫色・緑色など
ヤマユリやカサブランカ、アルストロメリアなど、1本の茎から複数の鉄砲型の花を咲かせるユリは、清楚な華やかさと癒し効果のある香りがあり、慶弔を問わず贈り物に最適です。
お悔やみの場においてユリは、祭壇や供花、枕飾りなどのお供え花として用いられるほか、棺に添える別れ花としてもふさわしく、洗練された美しさでさまざまなシーンを彩ります。
蘭(ラン)

- 花言葉:優雅・愛情
- 原産地:東南アジア・中南米など
- 色:白・ピンク・オレンジ・黄色・緑色など
胡蝶蘭をはじめ、デンファレ、カトレア、シンビジウム、オンシジウムなど、蘭にはさまざまな種類がありますが、いずれも存在感のある優雅な華やかさが特徴です。
開業祝いや就任祝いなどに高価な胡蝶蘭を贈ることがありますが、葬儀でも祭壇や供花に用いられ、弔意の気持ちを表すお花として選ばれています。
カーネーション

- 花言葉:純粋な愛・尊敬
- 原産地:南ヨーロッパ・西アジア
- 色:白・ピンク・黄色・オレンジ・緑色・紫色など
無垢の愛を表現するカーネーションは、母の日に贈る定番の花として知られていますが、葬儀や仏花においてもよく用いられている人気の花種です。
フリルのように重なり合う花びらが特徴で、縁取りのある2色の品種も人気です。故人の好きな色を取り入れたアレンジメントを作る際に用いられることも多くあります。
バラ

- 花言葉:美・愛情
- 原産地:日本・中国・ヨーロッパなど
- 色:白・ピンク・黄色・オレンジ・緑色・紫色など
バラにはトゲがあるため、お悔やみ花として贈るのは避けるべきとされていますが、故人がバラを好んでいた場合、遺族の希望や周囲の理解があれば、祭壇やお供え用として用いることも可能です。
お悔やみ花として贈る場合や、周囲の目が気になる場合は、ラナンキュラス(ハナキンポウゲ)やトルコキキョウなど、バラに似た品種の花を代用するとよいでしょう。
カスミソウ

- 花言葉:清らかな心・無邪気・親切・感謝
- 原産地:地中海沿岸・中央アジア・シベリアなど
- 色:白・ピンク・紫
カスミソウは、小さく可憐な白い花が特徴で、ほかの花を引き立てる役割も果たすため、花束やアレンジメントに最適な花です。
国内では、福島県や熊本県が特に有名な産地ですが、北海道も主要な産地の一つとして知られていて、冠婚葬祭のみならず、幅広いシーンで贈り物として人気を集めています。
菊(キク)

- 花言葉:高貴・清純・誠実・高潔・愛情
- 原産地:中国など
- 色:白・ピンク・オレンジ・黄色・紫色・緑色など
傷みにくい菊は、葬儀の祭壇や供花、お仏壇やお墓へのお供えに最適な花です。皇室の紋章やパスポートの表紙に採用されていることからもわかるように、日本を象徴する花として広く親しまれています。
和風のイメージが強い菊ですが、丸いフォルムと豊富なカラーバリエーションが特徴的な品種「ピンポンマム」を取り入れることで、洋風のアレンジに仕上げることも可能。可愛らしさや優しさを表現したい時にもおすすめです。
葬儀でおすすめの花はキク科

- ・ヒマワリ:あなたを見つめる・光輝
- ・マーガレット:真実の愛・真実の友情
- ・デージー:希望・平和・美人・純潔
- ・ガーベラ:希望・前向き・前進
- ・コスモス:調和・謙虚
- ・マリーゴールド:変わらぬ愛・友情
キク科には誰もが知る有名な花が数多くあります。色も白・クリーム・ピンク・オレンジ・黄色・ブルーなど多彩で、費用もリーズナブルなので、お好みに合わせて選びやすい花となっています。
一般的に、忌明けを迎える四十九日までに供える花は白を主体としますが、四十九日以降は鮮やかな色合いのアレンジメントでも問題ないとされています。
ただし、お祝い向けの赤い花や、縁起の悪いイメージの黒い花は避けることがマナーとされていますのでご注意ください。
まとめ:葬儀の花祭壇や供花やお悔やみの花は弘善社へお任せください!
葬儀で使用する花について、用途や相場費用、種類や色、花言葉の解説に加え、選び方のポイントやおすすめの花をご紹介しました。本記事の要点をまとめると次のとおりです。
北海道の旭川市及び北見市で6ヶ所の斎場を運営している弘善社では、生花のプロスタッフが在籍し、ご予算やご要望に合わせた花祭壇や供花、各種アレンジメントをご用意しています。
葬儀やご供養はもちろん、お祝い事の花束なども真心を込めてお作りしており、お花選びのご相談も承っていますので、どうぞお気軽にご用命ください。