近年は墓じまいブームと言われていますが、具体的にお墓や遺骨をどのように対処することをいうのか、よく分からない方もいらっしゃるでしょう。
そこで、墓じまいにかかる費用の相場や内訳金額、スムーズに進めるための手続き方法など、知っておくべき墓じまいの知識を分かりやすくまとめて解説します。
墓じまいに関してよくある質問までご紹介しますので、興味や関心のある方はぜひご覧になり参考になさってください。
墓じまいとは?
墓じまいとは、次の3つの対処によって不要になったお墓を処分することをいいます。
- ・納骨されている遺骨をほかのお墓や永代供養墓へ改葬する
- ・墓石を解体撤去して土地の区画を更地にする
- ・土地の使用権利を墓地へ返還する
近年は墓じまいをする方が急増しており、2022年には過去最高の15万件以上のお墓で墓じまいによる改葬を行ったことが発表されました。
墓じまいはお墓の継承者がいないご家庭をはじめ、故郷など遠方にあってお墓参りがしにくい方や、管理費の支払いやお墓のお手入れなどの心身の負担を軽減したい方に適しています。
墓じまいが必要な理由とは?
お墓の土地は永代使用権を取得して借りているのと同じ意味合いを持つため、他人への譲渡や転売などができず、不要な場合は元の状態に戻して墓地へ返還しなければなりません。
また、墓地の運営には法律に基づく規則があり、放置されたお墓は官報での告知や墓石への立札による通達から1年経過すると強制撤去され、無縁仏として葬られる可能性があります。
さらに、管理費を滞納すると督促状が届く以外にも、保証人や親族へ費用が請求されてしまう可能性もあるため、不要なお墓は墓じまいによって適切に処分することが大切です。
墓じまいの費用相場
内訳 | 費用 |
永代供養料 | 約5~150万円 |
墓じまいの費用 | |
墓石の解体撤去工事費用 | 約20〜50万円 |
閉眼供養のお布施 | 約3〜5万円 |
離檀料のお布施 | 無料〜約15万円 |
行政手続き費用 | 無料〜約3千円 |
小計 | 約20〜70万円 |
遺骨の永代供養の費用 | |
永代供養料 | 約5万円~150万円 |
墓石・名板・彫刻代 | 無料~約40万円 |
年間管理費 | 無料~約3万円 |
納骨手数料 | 約2~5万円 |
納骨法要のお布施 | 約3~5万円 |
小計 | 約5〜150万円 |
合計 | 約30〜300万円 |
墓じまいにかかる費用が約20〜70万円、遺骨の永代供養の費用が約5〜150万円となっており、総額で約30〜300万円と、上記のような内訳となっています。
最新の墓じまいに関する調査によると、実際にかかった費用は31〜70万円と回答した方が24.2%と最も多い結果です。
出典:【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)
墓石の解体撤去工事費用:約20〜50万円
墓じまいの墓石の解体撤去工事の費用は、1㎡あたり約10〜15万円が目安といわれており、墓地や墓石の大きさ、作業員の人数や工事日数などによって変動します。
閉眼供養のお布施:約3〜5万円
墓じまいをするときは事前に閉眼供養と呼ばれる読経供養によって、墓石へ宿った故人の魂を取り除く儀式をするのが一般的です。その際宗教者へは、約3〜5万円のお布施を包みます。
離檀料のお布施:無料〜約15万円
寺院の檀家墓地の墓じまいをする場合は、お世話になった謝礼として、約5〜15万円程度の離檀料を渡すのが一般的です。
公営墓地など離檀料は不要な場合もありますが、お寺によっては相場以上の金額のお布施を求められるケースもあるため、事前に確認しましょう。
出典:墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意(国民生活センター)
行政手続き費用:無料〜約3千円
墓じまいでは、役所や墓じまいをする墓地と遺骨の改葬先となる新たな墓地での書類手続きが必要となり、自治体や墓地によっては数百円〜約3千円程度の費用が必要です。
無料で行える場合もありますが、郵送による手続きであれば、書類の発行手数料以外に郵送料も必要になります。
遺骨の永代供養の費用:約5〜150万円
種類 | 永代供養料 |
合祀墓・合葬墓 | 約5〜30万円 |
集合墓 | 約20〜60万円 |
個別安置墓 | 約50〜120万円 |
樹木葬 | 約20〜100万円 |
納骨堂 | 約20〜150万円 |
個別墓 | 約80〜150万円 |
墓じまいによって納骨されている遺骨を永代供養する際は、約5〜150万円の費用が必要となります。永代供養墓の種類や墓石の有無によって、費用が大きく異なります。
墓じまいの流れ
墓じまいは、トラブルを回避してスムーズに遂行できるよう、次の7つの工程による流れで進めるのがおすすめです。
- ①墓じまいについて家族や親族と話し合う
- ②墓地の管理者へ墓じまいの相談をする
- ③納骨されている遺骨の供養方法を決める
- ④工事業者から見積もりを取得をして打合せを行う
- ⑤墓じまいの行政手続きを行う
- ⑥閉眼供養のうえ遺骨を取り出して墓じまいの工事を行う
- ⑦墓石の解体撤去工事を終えたら墓地の返還手続きをして遺骨を新たな改葬先へ納骨する
①墓じまいについて家族や親族と話し合う
墓じまいする際は後々までトラブルにならないよう、あらかじめ家族や親族とよく話し合って周囲に承諾を得てから取り組みましょう。
お墓への価値観は人それぞれ異なり、先祖代々受け継がれたお墓や故人が建立した墓石を大切にしたい方もいるため、揉め事を防ぐにはきちんと理解を求める必要があります。
②墓地の管理者へ墓じまいの相談をする
墓じまいでは事前に墓地の管理者へ意向を伝えて、必要な工事の範囲や手続きについて相談をしておきます。
とくに寺院墓地では、あらかじめお墓の維持が困難な理由や事情を相談することを重視し、一方的な墓じまいによってお寺へ不愉快な思いをさせないための心掛けが大切です。
③納骨されている遺骨の供養方法を決める
墓じまいすることが決まったら、お墓に納骨されている遺骨について、永代供養墓などの改葬先を決定します。
また遺骨は散骨したり、自宅で手元供養したりすることも可能です。
ただし、遺骨の取り扱いについては法律で定められていますので、違反しないよう注意が必要です。
④工事業者から見積もりを取得して打合せを行う
墓じまいの工事費用は、石材店や工務店など、複数の業者へ相見積もりを依頼して比較することで抑えやすくなります。その際、追加費用についても内訳や金額を確認しておくと安心です。
工事日程は、行政手続きに時間がかかる場合があるため、ゆとりをもった計画を立てましょう。
⑤墓じまいの行政手続きを行う
墓じまいは事前に行政手続きを済ませて『改葬許可証』を取得しなければ、工事や遺骨の改葬ができないためご注意ください。行政手続きの手順は、次章「墓じまいの行政手続きの方法と手順」で詳しく解説します。
⑥閉眼供養のうえ遺骨を取り出して墓じまいの工事を行う
墓じまいでは、あらかじめ閉眼供養をして墓石から遺骨を取り出してから工事を行うのが一般的で、閉眼供養をしないと業者へ工事を断られるケースがあるためご注意ください。
閉眼供養では、事前にお墓の掃除をして、仏花やお供え物をしたうえで、墓前で読経供養を行います。遺骨を取り出したら、墓じまいの工事が着手可能です。
⑦墓石の解体撤去工事を終えたら墓地の返還手続きをして遺骨を新たな改葬先へ納骨する
墓石の解体撤去工事が完了したら、墓地へ利用区画の返還手続きをして、墓じまいは完了となります。
墓石から取り出した遺骨は新たな改葬先へ納骨しますが、一般的には納骨法要を営むため、改葬先の指示に従って納骨の準備をしましょう。
墓じまいの行政手続きの方法と手順
墓じまいの行政手続きは煩わしくて大変な作業といわれていますが、誰でもスムーズに進められる方法があるため、ここではその5つの手順を解説します。
①墓じまいするお墓を管轄する役所から改葬許可申請書を入手する
まず、墓じまいするお墓がある地域を管轄する役所から、改葬する人数分の改葬許可申請書を入手します。用紙は自治体によって仕様が異なるため、必ず該当の役所で取得してください。
役所によっては、ホームページでダウロードできる場合や郵送してもらえるケースもあるため、遠方にあるお墓を墓じまいする際は問い合わせてみることをおすすめします。
②墓じまいする墓地の管理者から埋葬証明書と改葬承諾書を入手する
改葬許可申請書の必要事項を記入したら、墓じまいする墓地の管理者から埋葬証明書を取得します。
墓地名の記入欄がある改葬許可申請書の場合は、別紙として書類を用意する必要はなく、墓地の管理者の署名・捺印のみでも構いません。
また、お墓の所有者以外の方が手続きを行う場合は、改葬承諾書も併せて入手してください。役所によっては委任状で問題ないケースもあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
③改葬先の墓地の管理者から受入証明書を入手する
墓じまいするお墓の書類が揃ったら、次に改葬先のお墓の管理者から受入証明書を入手します。
埋葬証明書と同様に、改葬許可申請書へ署名・捺印欄がある場合は、書類として用意してもらう必要はなく、サインのみで構いません。
④墓じまいするお墓を管轄する役所へ改葬許可証を発行してもらう
必要書類が揃ったら、再び役所へすべての書類を提出して、改葬許可証を発行してもらいます。
改葬許可証を取得する際も郵送対応してもらえる場合がありますが、切手貼付した返信封筒の同封や、役所によっては手数料が発生するため、事前に役所へ確認してください。
⑤改葬先へ改葬許可証を提出して納骨する
入手した改葬許可証は、墓じまいで取り出した遺骨を改葬先へ納骨する際に必要となるため、紛失しないように注意して、納骨時に提出してください。
墓じまいに関するよくある質問
墓じまいに関するよくある質問をまとめてご紹介しますので、気になる項目をチェックして疑問の解消にお役立てください。
墓じまいで散骨する費用はどのぐらい必要なの?
散骨方法 | 費用 |
山林散骨 | 約5万円〜30万円 |
海洋散骨 | 約5万円〜40万円 |
散骨では、遺骨を2mm以下のパウダー状に粉骨して、人里離れた場所へ撒く必要があるため、一般的には専門業者へ委託し、上記の費用が必要となります。
一摘み程度の少量の遺骨を故郷などへ還す場合は自分自身で行うことも可能ですが、法律違反や地域の条例に注意しなければなりません。
墓じまいで手元供養する方法と費用は?
種類 | 費用 |
ミニ骨壷 | 約5千〜8万円 |
パーソナル仏壇 | 約5千〜15万円 |
アクセサリー | 約3千〜17万円 |
ジュエリー製作 | 約30〜300万円 |
手元供養は、遺骨を自宅へ安置する、身に着けて持ち歩くなどの供養方法です。宗教にとらわれることのない自由な方法で、永代供養や散骨と併用する方も多いようです。
墓じまいで散骨や手元供養をする場合の役所手続きはどうしたらいい?
散骨や手元供養では、改葬先から受入証明書を取得できず、一般的な改葬許可証の行政手続きを行えため、各自で役所へ相談することになります。
墓じまいの費用を安く済ませる方法はある?
地域の市営霊園や町営墓地などの公営墓地の墓じまいでは、工事費用の補助金が支給される場合や、永代供養墓への改葬で優遇してもらえるケースがあります。
条件や金額は霊園や墓地によって異なり、期限や手続き方法もそれぞれ異なるため、あらかじめ墓地の情報を調べてみることがおすすめです。
まとめ:北海道旭川市の葬儀社「弘善社」では葬儀後の墓じまいのご相談も承ります
墓じまいとは何か、具体的にやるべきことや費用相場、流れと手続きの方法、よくある質問についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・墓じまいとは、墓石へ納骨されている遺骨をほかのお墓や永代供養墓へ改葬し、墓石を解体撤去して更地にしてから、土地の使用権利を墓地へ返還することをいう。
- ・墓じまいは納骨されている遺骨の永代供養まで含めると、約30〜300万円と幅広い費用相場となっており、永代供養の種類や墓石の有無によって費用が異なる。
- ・墓じまいをするにはお墓を管轄する役所へ改葬許可証を発行してもらう手続きが必要となり、墓じまいするお墓と改葬先のお墓の2ヶ所の墓地の管理者との手続きも必要。
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子どもや親族へ迷惑をかけずに墓じまいをするためには、自分が健康なうちに検討しておくことが最良ですので、将来に備えたい方もどうぞお気軽にお問い合せください。