人気のある家族葬ですが、いざとなると「誰を呼べばいいの?」「自分は参列するの?」と、遺族側も参列者側もそれぞれの立場で戸惑うことがよくあります。
誰もが参列できる昔ながらの葬儀とは違い、家族葬では一般参列者の会葬を断るケースが多いほか、斎場は式場スペースに応じて着席人数が制限されるのが実態です。
本来、参列してもらうべき人を呼ばないことは失礼にあたるため、葬儀をきっかけに親戚や故人の関係者とのトラブルにもなりかねません。
家族葬では、手順に則って参列者を決めることが重要なため、呼ぶべき参列者の範囲の具体例や注意点をはじめ、家族葬における訃報通知の文例もご紹介します。
訃報通知を受け取った方も、家族葬の場合は無理な参列を控えるのが大切なマナーのため、故人と遺族に迷惑をかけないように注意しましょう。
家族葬とは?
家族葬とはどんな葬儀なのか、従来からある誰もが参列できる一般葬との違いについて詳しく分かるように、次の5つの事項について解説します。
- ・家族葬の特徴
- ・家族葬のメリットとデメリット
- ・家族葬の流れ
- ・家族葬の相場費用
家族葬の特徴
家族葬は、参列者や会葬者の人数を問わない一般葬と比較すると、次の2つの特徴があります。
- ・30名未満の少人数で行う小規模の葬儀
- ・一般会葬者の参列や香典・弔電を断るケースもある
30名未満の少人数で行う小規模の葬儀
家族葬の最大の特徴は、30名未満の少人数で行う小規模な葬儀スタイルで、近年は家族葬専用の斎場も多くなりました。家族葬の参列人数に決まりがあるわけではありませんが、現在多くの家族葬は30名未満で行われています。
葬儀は参列者の人数に応じて利用する斎場の式場スペースが異なり、家族葬では人数制限があるのが一般的です。
家族や親族といった故人の近親者のみが参列するケースが多い傾向にありますが、故人の友人や知人へ参列してもらっても問題ありません。
一般会葬者の参列や香典・弔電を断るケースもある
家族葬では、一般会葬者の参列をお断りすることが通例です。
さらに、弔問客に負担をかけることなく、近親者のみで葬儀を営みたいといった理由から、香典や弔電を辞退するケースもあります。
喪主や遺族の立場であれば、参列者のためにも、どのように対処するか、早めに方針を決定しましょう。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬のメリットとデメリットについて、それぞれご紹介します。葬儀の形式を決める際は、適切かどうか確認してください。
家族葬のメリット
家族葬は、家族や親族など、気心知れた人たちとアットホームな雰囲気で、故人としっかりとお別れができることが最大のメリットです。
一般の方も参列する一般葬の場合、地域によってはお通夜の通夜振る舞いで、参列者全員に対して料理やお酒のおもてなしが必要となり、遺族は接客応対に追われてしまいます。
しかし、少人数の家族葬では、葬儀当日の接客応対から、葬儀後のお礼や挨拶廻りに至るまで、大幅に手間を省くことが可能です。
同時に飲食代も軽減でき、葬儀の規模が小さいことによって、式場の使用料や祭壇と装飾の生花など、さまざまな葬儀費用を押さえることができます。
家族葬のデメリット
家族葬では、参列者が少ないことで香典収入が減ってしまうことと、参列したくてもできない人が発生してしまうことが大きなデメリットです。
葬儀費用は一般葬よりも家族葬の方が安価に済ませられる傾向にあります。しかし、もらえる香典の金額によっては、収支としてマイナスになる可能性もあるためご注意ください。
また、故人の交友関係を万全に把握できていないご家庭も多いと思いますが、そのような場合、最後のお別れができない人が発生してしまいます。
つまり、家族葬にあたっては、生前にお世話になった方々をはじめ、故人本人や故人の周囲へ失礼がないかどうかを見極めることが重要といえるでしょう。
家族葬の流れ
家族葬は次のとおり、一般葬と同じような流れで行われます。
死後の葬儀の準備
死後は速やかに葬儀社へ連絡をして、葬儀の準備を行います。葬儀の日程が決まったら訃報案内をして、遺影写真やお布施、喪服や数珠などの持ち物の準備をします。
- ① 葬儀社への連絡
- ② ご遺体の搬送と安置
- ③ 葬儀社との打合せ
- ④ 訃報連絡
- ⑤ 葬儀の準備
家族葬の1日目
家族葬の1日目はお通夜となります。ご遺体を棺へ納める納棺をしたら、斎場でお通夜の準備状況を確認し、僧侶や参列者をお迎えします。
- ① 納棺
- ② お通夜の準備
- ③ お通夜
- ④ 通夜振る舞い
家族葬の2日目
家族葬の2日目は葬儀・告別式と火葬となります。地域によっては、火葬を先に行うケースもあり、一般的に繰り上げ法要を行うことが多いです。- ① 葬儀・告別式
- ② 出棺
- ③ 火葬
- ④ 初七日法要
- ⑤ 精進落とし
家族葬の相場費用
家族葬の相場費用は地域や人数によっても異なりますが、全国的には100万円前後と言われており、2023年の北海道の相場費用は「50~100万円未満」となっています。
出典:【2023年】北海道の葬儀の種類と葬儀代やお布施の平均費用の調査結果
また、葬儀では葬儀費用のほかに、お布施が必要となります。
お布施は、地域や戒名のランクによって大きな差があり、全国的な相場費用は約15~50万円なのに対し、北海道では約15〜25万円です。
つまり、家族葬の費用は地域によって差が生じるため、葬儀社やお付き合いのある寺院へ事前に確認するようにしましょう。
家族葬の参列者を決める手順
家族葬の参列者を決めるには、次の4つの手順で行います。
- ① 葬儀社へ参列できる最大人数を確認する
- ② 参列者の優先順位を把握する
- ③ 故人の兄弟姉妹などの身内へ参列者を相談する
- ④ 最大人数の範囲内で参列者を決定する
STEP1 葬儀社へ参列できる最大人数を確認する
家族葬に参列できる人数は斎場によって異なるため、まず葬儀社へ最大限に参列できる人数を確認しましょう。
一般的には20~30名程度が多い一方で、葬儀社によっては、20名未満の場合や、逆に50名などまで着席できる大きな式場を完備しているケースもあります。
STEP2 参列者の優先順位を把握する
参列者の対象は、故人との繋がりが強い方から、次の優先順位で検討します。- 1位:喪主・家族
- 2位:同居人や故人の血縁者の親族
- 3位:その他の親族
- 4位:故人の友人・知人
家族や血縁者として、より具体的な優先順位は、次のとおりです。
- 1位:配偶者
- 2位:1親等(父母・子ども)
- 3位:2親等(祖父母・孫・兄弟姉妹)
- 4位:3親等(曾祖祖父母・曾孫・甥姪・伯叔父母)
- 5位:4親等(従兄弟姉妹)
STEP3 故人の兄弟姉妹などの身内へ参列者を相談する
故人の血縁者へは、故人の兄弟姉妹などの身内を介して訃報連絡をしてもらうとスムーズです。その際に参列者を相談するようにしましょう。
親族が多くて斎場の人数に限りがある場合や、葬儀代の予算から少人数で行いたい場合などの要望があれば、正直に伝えて相談してください。
とくに、長男・長女などの故人の身内で中心になる方を頼り、事前に話し合っておくことで、後々まで親戚とのトラブルを回避しやすくなります。
STEP4 最大人数の範囲内で参列者を決定する
参列者ではまず、葬儀費用を負担する喪主や施主をはじめ、家族や同居人、故人の親族の範囲で参列者を決定しましょう。
故人の血縁関係を優先することは、社会的なモラルとして通用するため、親戚トラブルにもなりくい傾向があります。
一方で、直系の親族ばかりではなく、配偶者の親族との交流が深いケースも多いため、親戚の間で問題にならないようなら、参列者へ姻族を含めても構いません。
また、家族葬は家族や親族のみで行うケースが多い一方で、席にゆとりがあれば、故人が親しかった友人や知人へ参列してもらうと良いでしょう。
家族葬へ呼ぶべき範囲の具体例
家族葬で呼ぶべき範囲について、人数に応じた具体例を分かりやすく図解でご紹介しますので、どうぞ参考になさってください。
10名程度の参列
- ・配偶者
- ・両親
- ・子ども
- ・孫
- ・兄弟姉妹
- ・伯叔父母
- ・子どもの配偶者
20名程度の参列
- ・配偶者
- ・両親
- ・子ども
- ・孫
- ・玄孫
- ・兄弟姉妹
- ・伯叔父母
- ・子どもの配偶者
- ・配偶者の両親
- ・配偶者の兄弟姉妹
30名程度の参列
- ・配偶者
- ・両親
- ・子ども
- ・孫
- ・玄孫
- ・兄弟姉妹
- ・伯叔父母
- ・子どもの配偶者
- ・配偶者の両親
- ・配偶者の兄弟姉妹
- ・故人の友人・知人
故人の友人・知人=最大参列数-家族と親族の人数
故人の友人・知人など、家族や親族以外の人へ参列してもらう場合は、次の式をルールとしておきましょう。
故人の友人・知人=最大参列数-家族と親族の人数
故人の血縁者など、大切な故人の葬儀へ呼ばないと、親族にとっては不信感を抱くこととなり、後々のお付き合いへも影響してしまうためご注意ください。
家族や親族以外の参列者は、席にゆとりがある場合に参列してもらうようにすると、親戚トラブルを防ぐことができ、社会的にも理解を得られやすいです。
家族葬の参列者における注意点
家族葬への参列に際しては注意点があるため、喪主や遺族側と参列者側のそれぞれの立場からご紹介します。
- ・喪主や遺族側は必ず訃報案内を行う
- ・参列者側は訃報案内の意向に従う
喪主や遺族側は必ず訃報案内を行う
喪主や遺族側の立場では、次の4つのポイントを抑えて、訃報案内を行いましょう。
- ・親族へは死後すぐに訃報を伝えてから追って葬儀の情報を伝える
- ・訃報案内では家族葬であることを伝える
- ・訃報案内で参列者以外の会葬を断る
- ・香典や弔電を辞退する場合は訃報案内へ記載する
親族へは死後すぐに、親族以外へは葬儀の日程が決まったら速やかに訃報案内を行いましょう。
親族は遠方から訪れるケースもあり、航空券や新幹線のチケット、ホテルの予約などの兼ね合いがあるほか、参列者にとっては香典や喪服を準備する手間もあります。
また、参列者以外の方が参列すべきかどうか戸惑わないよう、家族葬であることをしっかりと伝えて、香典や弔電を辞退する際には、その旨をきちんと明記しましょう。
葬儀前後の弔問や、供花・供物などを辞退したい場合には、できるだけ項目の詳細を記載しておくと、相手に伝わりやすいです。
参列者側は訃報案内の意向に従う
参列者側は訃報連絡を受け取ったら、記載内容に従い、香典辞退の際は無闇に押し付けないようにご注意ください。
なお、家族葬では、「参列してほしい」という喪主や遺族の要望がない限り、参列を遠慮するのがマナーです。
従来の一般葬では、葬儀へ参列できない場合に自宅へ香典を送ったり、斎場へ弔電を送ったりすることがありますが、これらも訃報案内どおりに従いましょう。
葬儀に関する喪主や遺族の意向は、遺言などによって、故人が要望している場合も多くあります。
葬儀へ参列できずに弔問ができなくても、納骨後にお墓参りへ行くなど、後々の供養で故人へ想いを届けることはできるため、喪主や遺族の気持ちを尊重してください。
家族葬の訃報案内の文例
家族葬での訃報案内では、参列者と参列者以外に分別して相手に分かりやすく希望を伝えることが大切です。文例をご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
親族への訃報案内文の例文
父(または母)の葬儀につきましてご案内申し上げます
当日は家族葬を予定しておりますため どうぞご容赦賜りますようお願い申し上げます
【通夜】〇月〇日(月)〇時~
【葬儀告別式】〇月〇日(〇)〇時~〇時
【斎場】〇〇斎場(住所:〇〇市〇〇町〇-〇-〇/電話:〇〇-〇〇-〇〇)
【喪主】〇〇〇〇(続柄)
ご参列の可否につきましては 私までご連絡いただければ幸いです
〇〇〇〇 連絡先:〇〇-〇〇-〇〇
参列者への訃報案内文の文例
〇〇〇〇(親の名前)の〇〇(続柄)〇〇〇〇と申します
かねてより療養中だった父(または母)が〇〇日に〇歳で永眠いたしました。
ここに生前のご厚誼を深謝し謹んで通知申し上げます
通夜および葬儀告別式について家族葬を仏式にて行います
【通夜】〇月〇日(月)〇時~
【葬儀告別式】〇月〇日(〇)〇時~〇時
【斎場】〇〇斎場(住所:〇〇市〇〇町〇-〇-〇/電話:〇〇-〇〇-〇〇)
【喪主】〇〇〇〇(続柄)
ご参列の可否につきましては 私までご連絡いただければ幸いです
〇〇〇〇 連絡先:〇〇-〇〇-〇〇
参列者以外への訃報案内の文例
〇〇〇〇(親の名前)の〇〇(続柄)〇〇〇〇と申します
かねてより療養中だった父(または母)が〇〇日に〇歳で永眠いたしました
ここに生前のご厚誼を深謝し謹んで通知申し上げます
なお 葬儀は近親者のみで執り行います
誠に勝手ながら 故人の遺志により香典・弔電・供花や弔問は辞退しておりますため どうぞご容赦賜りますようお願い申し上げます
まとめ:家族葬の参列でお困りの場合は葬儀社の無料相談を利用しよう!
家族葬ではどこまでが参列するべき範囲か、図解による具体例や、注意点についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・家族葬とは30名未満の少人数で行う葬儀が特徴で、ゆっくりお別れができることや葬儀費用を抑えられるメリットがある一方で、人数制限に注意しなければならない。
- ・家族葬でどこまで参列してもらうかは、事前に葬儀社へ参列できる人数を確認のうえ、故人の近親者へ相談して参列者の範囲を決めると親戚トラブルを回避できる。
- ・親族へは死後速やかに訃報を伝え、親族以外へは葬儀の日程が決まったらすぐに訃報案内を行い、家族葬であることと、参列してもらうかどうかをきちんと伝える。
- ・香典や弔電を辞退する際は、相手に分かりやすく家族葬の訃報案内へ明記する。訃報案内を受け取った側は喪主や遺族の意向に従うことがマナー。
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