葬儀のお布施に関しては、「金額はいくら包めばいいの?」「封筒の書き方はどうすればいいの?」と、さまざまな疑問があるでしょう。
いざインターネットで調べてみても、サイトによって掲載している金額が異なり、「結局、いくら包めばいいの?」と、戸惑う方も少なくありません。
本記事では、葬儀のお布施の金額が異なる理由から、相場や封筒の書き方、渡し方まで、マナーや注意点を分かりやすく解説します。
葬儀のお布施に関してよくある質問までご紹介しますので、マナー違反をしないよう、ぜひ最後までご覧になり、参考になさってください。
葬儀のお布施はなぜ必要?

葬儀のお布施が必要なのには理由があり、まず第一に、僧侶による読経や戒名授与、故人の供養に対して、感謝の気持ちを表すためです。
さらに、お布施を納める行為は仏教の修行の一環でもあり、見返りを求めずに与える「財施」として、自らの功徳(くどく)になると考えられています。
お布施は、お寺の運営や僧侶の活動を支えるための費用に充当されており、故人や先祖の供養を維持してもらうための大切な資金源でもあります。
本来、お布施は心付けとして気持ちを包むものですが、昨今は相場を踏まえた金額を支払うのが一般的のため、お世話になる僧侶へ失礼のないよう、マナーを踏まえて渡しましょう。
葬儀のお布施は主に3つの理由で相場金額が異なる

お布施の平均金額は約43万円と言われていますが、実際のお布施は約15~50万円と幅広く、主に次の3つの要素によって相場金額が異なるため、詳しく解説します。
- ・地域性:約25~50万円
- ・戒名料:約20〜30万円
- ・葬儀形式:約3〜50万円
地域性によるお布施の相場金額の違い
| 地域 | お布施の相場金額 |
| 北海道 | 約25万円 |
| 東北 | 約34万円 |
| 関東 | 約49万円 |
| 東京 | 約57万円 |
| 北陸 | 約32万円 |
| 東海 | 約44万円 |
| 近畿 | 約39万円 |
| 中国四国 | 約44万円 |
| 九州 | 約35万円 |
| 全国 | 約43万円 |
葬儀は地域の風習によって費用や流れ・内容が異なり、お布施の金額においても地域によって、上記のような違いがあります。
お布施が圧倒的に安いのは北海道で、東京などの首都圏と比較すると半額以下の金額となっています。
戒名料によるお布施の相場金額の違い
| 宗派 | 信士・信女 | 居士・大姉 | 院信士・院信女 | 院居士・院大姉 |
| 真言宗 | 30〜50万円 | 50〜70万円 | 80万円以上 | 100万円以上 |
| 天台宗 | 30〜50万円 | 50〜70万円 | 80万円以上 | 100万円以上 |
| 曹洞宗 | 30万円以上 | 50〜70万円 | 100万円以上 | 100万円以上 |
| 臨済宗 | 30〜50万円 | 50〜80万円 | ‐ | 100万円以上 |
| 日蓮宗 | ‐ | ‐ | 30〜50万円 | 100万円以上 |
| 浄土宗 | 30〜40万円 | 50〜60万円 | 70万円以上 | ‐ |
| 浄土真宗 | 釋・釋尼 20万円以上 | – | 院釋・院釋尼 50万円以上 | ‐ |
葬儀で授かる死後の名前の「戒名」には戒名料が必要となり、戒名料は宗派や戒名の階級によって、上記のように相場金額が異なります。
戒名料は地域によっても差があり、最も安価といわれる北海道での戒名料の相場は、次のとおりで、無料で授けてもらえるケースもあります。
| 宗派 | 信士・信女 | 居士・大姉 | 院信士・院信女 | 院居士・院大姉 |
| 真言宗 | 5〜10万円 | 10〜15万円 | – | 20〜30万円 |
| 曹洞宗 | 5〜10万円 | 10〜15万円 | – | 20〜30万円 |
| 日蓮宗 | – | – | 10〜15万円 | 20〜30万円 |
| 浄土宗 | 5〜10万円 | 10〜15万円 | – | 20〜30万円 |
| 浄土真宗 | 釋・釋尼 0〜3万円 | – | 院釋・院釋尼 15〜30万円 | – |
葬儀形式によるお布施の相場金額の違い
| 葬儀形式 | 人数 | 日程 | シェア率 | お布施の相場金額 |
| 一般葬 | 30名以上 | 2日 | 30.1% | 約10〜50万円 |
| 家族葬 | 30名以下 | 2日 | 50.0% | |
| 一日葬 | 30名以下 | 1日 | 10.2% | 10〜30万円 |
| 直葬・火葬式 | 数名 | 数時間 | 9.6% | 3〜10万円 |
- ・一般葬:昔ながらの会葬者を多く招く葬儀
- ・家族葬:最も人気のある少人数の葬儀
- ・一日葬:お通夜を省略する1日の葬儀
- ・直葬・火葬式:火葬のみを行うスタイル
お葬式は人数や流れによって4種類の葬儀形式があり、お布施は葬儀形式によっても相場金額が異なります。
なお、最新の葬儀形式に関する調査結果によると、最も人気があるのは家族葬となっており、葬儀全体の半数を占めていることが判明しました。
お布施の相場金額が異なるそのほかの理由
お布施の金額は、そのほかにも次のような理由によって変動する場合があります。
- ・お寺の格式:総本山・本山などの寺格が高いほどお布施は高額
- ・故人や遺族の社会的地位:有名人や裕福な家柄の場合は高額のお布施を納める傾向がある
- ・信仰心やお付き合いの度合い:檀家としての立場によってお布施の金額を加味する
- ・遺族の事情:家庭の主が亡くなった場合や収入の問題など
葬儀のお布施の封筒の選び方と表書き

葬儀のお布施を入れる封筒の選び方にはマナーがあるため、次の4つのポイントについて解説します。
- ・お布施は3つの表書き(御布施・御車代・御膳料)の封筒を用意する
- ・お布施の封筒は奉書紙のたとう折りタイプがよい(白い封筒でも可)
- ・白い封筒は材質・形状や郵便番号の枠に注意する
- ・お布施は基本的に水引が不要
お布施は3つの表書き(御布施・御車代・御膳料)の封筒を用意する
葬儀のお布施は、基本的に御布施・御車代・御膳料の3つの表書きの封筒を用意します。遠方から菩提寺に来てもらう場合など、宿泊費が発生する場合は、別に封筒を用意しましょう。
| 表書き | 内訳 | 相場費用 |
| 御布施 | 読経料・戒名料 | 10〜50万円 |
| 御車代 | ガソリン代・駐車場代・タクシー代などの交通費 | 5,000〜1万円 |
| 御膳料 | 会食をしない場合の食事代 | 5,000〜1万円 |
| 御宿泊料 | ホテル代などの宿泊費 | 不足がないように |
- ・御布施:読経料と戒名料は一緒に包んでもよい
- ・御車代:僧侶が複数名の場合はそれぞれに渡す(お寺で葬儀をする場合や遺族側が送迎をする場合は不要)
- ・御膳料:食事をしない場合はそれぞれの僧侶へ渡す
お布施の封筒は奉書紙のたとう折りタイプがよい(白い封筒でも可)
葬儀のお布施の封筒は、丁寧で誠意が伝わりやすいよう、中包み(中袋へ入れる)をして、左右と上下を畳む「たとう折り」の奉書紙で包むタイプがおすすめです。
お布施用の封筒は、コンビニエンスストアや100円均一、文房具店、ホームセンターなどで市販されています。
御布施・御車代・御膳料の表書きがセットになった封筒も販売されていますが、白い封筒へ自分で表書きを書いても問題ありません。
白い封筒は材質・形状や郵便番号の枠に注意する
お布施として白い封筒を使用する場合は、お金が透けて見えないよう、厚手の材質の縦書きタイプとし、郵便番号枠が印刷されていないものを選びましょう。
- ・長形4号(90×205mm):5万円まで
- ・長形3号(120×235mm):5万円以上
封筒には規格サイズがあるため、包む金額による大きさの目安は、上記を参考になさってください。
お布施は基本的に水引が不要
お布施は基本的に水引が不要ですが、地域によっては、白黒や黄白などの水引の付いたお布施袋を使用する場合があります。
どのような水引の封筒を選ぶべきか分からない場合は、菩提寺や地域の葬儀社へ事前に確認しましょう。
葬儀のお布施のお札の選び方や入れ方・包み方

葬儀のお布施では、お札の選び方や入れ方・包み方にマナーがあります。お布施は僧侶への謝礼のため、遺族への弔意を表す香典とはマナーが異なることに注意しましょう。
お布施のお札の選び方
お布施に使用するお札は、お世話になる僧侶へ真心を込めて用意したことが伝わりやすいよう、未使用の「新札」を包むのがおすすめです。
新札の用意が難しい場合は、できるだけ汚れや折り目が目立たない、きれいなお札を選んで包みましょう。
お布施のお札の向き
お布施は、すべてのお札の方向を揃えて、外袋の表側から見て、肖像画の絵柄のある表面が「表側かつ上側」になるように包みましょう。
中袋がある場合は、裏返して開封した際、お札の肖像画が「裏側かつ上側」になる向きで封入します。
お布施の包み方
お布施の外袋のたとう折りの順序は、「左→右→下→上」です。先に下側を上に折り上げ、その上に上側を被せて、開かないように横から下の折り返し部分を差し込みます。
水引の付いたお布施袋の場合は、最後に開封口を水引の下へ差し込みます。封筒を使用する際は、二重封筒はタブーのため、中袋や中包みは必要ないためご注意ください。
お布施の封筒の書き方

お布施の封筒の書き方について、外袋と中袋に分けて解説します。お布施の封筒は、薄墨ではなく、濃い黒墨の筆や筆ペンを使用するのがマナーです。
お布施の外袋(表面)の書き方
お布施の外袋には、表面へ次の2つを書きます。表書きが印刷されている場合は、中央の下へ氏名や家名のみ記入します。
- ・中央より上:「御布施」などの表書き
- ・中央より下:氏名(フルネーム)または「〇〇家」
お布施の外袋(裏面)の書き方
お布施袋に中袋がない場合は、外袋の裏面へ以下の項目を記入しましょう。中袋がある場合は、外袋の裏面は無地のまま、何も記入しなくて構いません。
- ・中央より下・左側:住所
- ・住所の左側・下寄り:氏名
- ・氏名の左側:お布施の金額
お布施の中袋の書き方
お布施の中袋は文字が読みやすいよう、筆ペンではなく、黒のボールペンやサインペンを使用しても問題ありません。項目欄がある場合は漏れなく記入し、無地の場合は以下を参考にしてください。
- ・表側の中央または裏側の右側:お布施の金額
- ・裏側の左側:住所
- ・裏側の住所の左側の下寄り:氏名
お布施の金額の書き方
お布施の金額は、次のような「大字(だいじ)」と呼ばれる旧字体の漢数字で書くのが正しいマナーです。
| 一 | 二 | 三 | 五 | 六 | 七 | 八 | 十 | 千 | 万 | 円 |
| 壱 | 弐 | 参 | 伍 | 陸 | 漆 | 捌 | 拾 | 阡 | 萬 | 圓 |
金額の先頭には、改ざんがないことを表す「金」、最後には端数がないことを表す「也」を付けるのが一般的となっていますので、次の見本を参考に記入しましょう。
| 金額 | 書き方 |
| 5,000円 | 金伍阡圓也 |
| 1万円 | 金壱萬圓也 |
| 3万円 | 金参萬圓也 |
| 5万円 | 金伍萬圓也 |
| 10万円 | 金拾萬圓也 |
葬儀のお布施の渡し方

葬儀のお布施の渡し方について、タイミングや具体的な渡し方の手順を解説しますので、マナー違反にならないよう、あらかじめよく読んで対応しましょう。
葬儀でお布施を渡すタイミング
葬儀でお布施を渡すタイミングは、あらかじめ葬儀社へ依頼して、適切なタイミングを見計らって声がけしてもらい、導師控室まで誘導してもらうのがおすすめです。
基本的には葬儀前・葬儀後のいずれかとなります。
葬儀のお布施の渡し方の手順とマナー
葬儀における僧侶へのお布施の渡し方にはマナーがあるため、手順と押さえるべきポイントについて解説します。
- ①お布施の封筒は重ねて切手盆へ乗せる(お布施が一番上)。
- ②両手で切手盆を持ち、導師控室へは一礼をしてから入室する。
- ③座布団を使用せず、テーブルの横の畳へ正座をする。
- ④僧侶へ「本日はどうぞ宜しくお願い申し上げます(本日はありがとうございました)」と挨拶をしてお辞儀をする。
- ⑤お布施を僧侶から読める向きに整えて、「どうぞお納めください」と差し出す。
- ⑥一礼をしてから退室する。
正座による僧侶へのお辞儀では、指先をまっすぐ伸ばし、畳の上で親指と人差し指で三角形を描くように置き、その手に向かって頭を下げると美しい姿勢が作れます。
初めて喪主を経験する方は、緊張して失敗しないように、あらかじめ自宅でシュミレーションしておくとよいでしょう。
葬儀のお布施に関する5つの注意点

葬儀のお布施に関しては、気をつけなければならない5つの注意点があるため、あらかじめチェックしてトラブル対策を行いましょう。
- ①お布施の金額は事前に菩提寺へ確認する
- ②檀家は戒名を付けないとトラブルになりやすく、納骨できない可能性がある
- ③戒名は家族だけではなく故人の親族にも相談する
- ④お布施は「4」「9」の付く金額を避ける
- ⑤お布施は袱紗(ふくさ)に包んで持参して小盆に乗せて渡す
①お布施の金額は事前に菩提寺へ確認する
お布施の金額は前述のようにお寺によっても異なるため、勝手に決め付けずに、必ず事前に菩提寺へ確認して、戒名料についても階級や具体的な金額の相談をしましょう。
金額については、「皆様、いくらぐらいですか?」と確認すると、相場を確認しやすいです。
②檀家は戒名を付けないとトラブルになりやすく、納骨できない可能性がある
檀家の場合、戒名を付けないとトラブルになりやすく、菩提寺にお墓がある方は納骨できない可能性があるため注意しましょう。
お付き合いしている特定のお寺がなく、戒名が不要な場合は、生前の名前と同じ俗名(ぞくみょう)で、死後の供養を行うこともできます。
③戒名は家族だけではなく故人の親族にも相談する
戒名は、お位牌やお墓へ彫刻して子孫へ継承されてゆく大切な名前のため、家族だけではなく、故人の血縁者にあたる親族へも相談するようにしましょう。
本人の特徴や人柄、生前の名前などの文字から付けられる戒名では、とくに階級ランクについて親族トラブルが起こりやすいためご注意ください。
④お布施は「4」「9」の付く金額を避ける
葬儀のお布施では、縁起が悪いとされる「4」と「9」の付く忌み数の金額を避けて包むようにしましょう。
お札の枚数に関しては、香典とは異なり、奇数や偶数を気にする必要がありません。
⑤お布施は袱紗(ふくさ)に包んで持参して小盆に乗せて渡す
お布施は袱紗に包んで持参し、葬儀ではあらかじめ葬儀社へ小盆を借りて、僧侶に渡す準備を整えましょう。
小盆がない場合は、畳んだ袱紗をお盆の代わりにして、その上にお布施を乗せて渡します。
お布施の袱紗は、安定して包みやすい「台付き袱紗」がおすすめで、小盆の代わりとしても用途しやすいです。
葬儀のお布施に関してよくある質問

葬儀のお布施に関して、よくある質問をご紹介しますので、気になる項目があれば事前に確認して、マナー違反やトラブル回避にお役立てください。
葬儀でお坊さんへ依頼するタイミングは?
葬儀の前に安置しているご遺体に枕経をあげてもらったり、葬儀の日程スケジュールを確認する必要があるため、菩提寺がある場合は死後なるべく早く、連絡をするのがマナーです。
お付き合いをしているお寺がない場合は、葬儀社へ依頼すると、最寄りのお寺の僧侶を紹介してもらえるため、希望の宗派を伝えて手配してもらいます。
葬儀後の法事・法要のお布施の金額はいくら必要なの?
| 目的 | 相場金額 |
| 四十九日法要 | 3万円〜5万円 |
| 納骨法要 | 1万円〜5万円 |
| 新盆(初盆) | 3万円〜5万円 |
| お彼岸法要 | 3万円〜5万円 |
| 一周忌法要 | 3万円〜5万円 |
| お盆法要 | 5千円〜1万円 |
| 三回忌以降の法要 | 1万円〜5万円 |
葬儀後の法事・法要のお布施の相場金額は、上記のとおりとなっていますが、地域やお寺によっても金額は異なるため、あらかじめ菩提寺へ確認しましょう。
まとめ:葬儀のお布施は相場金額やマナーが異なるため、菩提寺や地元の葬儀社へ相談しましょう!

葬儀のお布施に関して、相場金額が異なる理由と具体的な金額や、お布施の封筒の書き方やお金の入れ方、渡し方のマナーについて解説しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・葬儀のお布施の相場金額は、約15〜50万円で、地域性(約25~50万円)、戒名料(約20〜30万円)、葬儀形式(約3〜50万円)と、主に3つの理由で異なる。さらに、お寺の格式・故人や遺族の社会的地位・信仰心やお付き合いの度合い・遺族の事情などによっても金額が変動する。
- ・葬儀のお布施は、3つの表書き(御布施・御車代・御膳料)の封筒を用意し、封筒は奉書紙のたとう折りタイプがベスト。白い封筒を使用する場合は、材質・形状や郵便番号の枠がないことに注意する。水引は基本的に不要だが、地域によって異なる。
- ・葬儀のお布施は、できれば新札を用意し、お布施袋の表側から見て、肖像画が表側の上側にする。たとう折りは、左→右→下→上の順序で包む。書き方は、濃い黒墨の筆や筆ペンで表書きと氏名(家名)、中袋へはサインペンなどで住所・氏名・金額(旧字体の大字)を記す。
- ・葬儀のお布施では次の5つの注意点がある。①金額は事前に菩提寺へ確認する ②檀家は戒名を付けないと納骨できない可能性がある ③戒名は故人の親族にも相談する ④お布施は4と9の付く金額を避ける ⑤お布施は袱紗に包んで持参して小盆に乗せて渡す
弘善社は、北海道旭川市をはじめ、北見市や網走市で斎場運営を行っている葬儀社として、喪主様や遺族の皆様の疑問やお悩みのご相談を無料で承っています。
葬儀後の法事・法要や、納骨のお手伝いまで幅広く対応していますので、お葬式のマナーや信頼できるお坊さんの紹介などについても、どうぞお気軽にご相談ください。