お葬式では、故人や遺族をはじめ、ほかの参列者に対して失礼にならないよう、大人のみならず子どもにおいても、服装やマナーに気をつけなければなりません。
子どものマナー違反は、親のしつけの問題とみなされるケースがありますが、お葬式では子どもの存在が目立ちやすく、まさに親のモラルが問われやすいため注意が必要です。
そこで本記事では、子どものお葬式の服装や身だしなみをはじめ、注意するべきマナーについて、徹底的に解説します。
子ども連れで参列する親としてのマナーや子どものために知っておきたいお葬式の知識まで、具体例を挙げて紹介しますので、ぜひ最後までご覧になり、お役立てください。
子どものお葬式における服装の基本マナー
子どものお葬式における服装の基本マナーについて、知っておきたい知識を解説しますので、親の立場としてもよく理解して、子どもへ教えてあげましょう。
子どものお葬式の服装における重要性とは?
お葬式における服装や身だしなみでは、大人や子どもを問わず、守るべき3つの基本マナーがあります。
- ・故人への敬意と弔意を表す
- ・遺族や参列者に対して配慮する
- ・厳粛なお別れの儀式の雰囲気を乱さない
故人や遺族をはじめ、参列する方々へ迷惑をかけないよう、服装や身だしなみはきちんと整えましょう。
子どもは喪服がいらない
お葬式の服装といえば喪服ですが、子どもは大人とは違い、わざわざ喪服を用意する必要がなく、学生服や手持ちの洋服をコーディネートすれば問題ありません。
ただし、色や組み合わせなど、お葬式の子どもの服装には押さえるべきマナーがあるため、後述の選び方をしっかりと読んで対応しましょう。
なお、大人の喪服には、「正喪服」「準喪服」「略喪服」と3種類があり、この記事の最後で参考記事をご紹介していますので、どうぞご参照ください。
お葬式における子どもの服装の選び方【年齢別】
年齢 | 最適な服装 |
0〜2歳頃(乳幼児) | 白・黒・グレー・ブルーなどのベビー服 |
3〜5歳頃(幼児) | 制服(制服がなければ白いシャツと黒・グレー・紺などの洋服) |
6〜18歳頃(小学生・中学生・高校生) | |
18〜20歳頃(大学生) | 喪服(急なお通夜への参列では黒・紺・グレーの略喪服でも可) |
お葬式における子どもの最適な服装の選び方について、年齢別に解説しますので、どうぞ参考になさってください。
0〜2歳頃(乳幼児)のお葬式の服装
0〜2歳頃の乳幼児には、無地や柄が目立ちにくい白・黒・グレー・ブルーなどの落ち着いた色のベビー服を選びましょう。
色はアイボリーや水色、柄はボーダーなどでも構いませんが、見た目として質素で控えめな印象にするのがお葬式向けのベビー服のポイントです。
3〜5歳頃(幼児)のお葬式の服装
3〜5歳頃の幼児で、保育園や幼稚園で制服がある場合は、その制服を着用するのがお葬式の礼装として適しています。
制服がない場合は、白いシャツやブラウスと、黒・紺・グレーのズボンやスカート・ワンピースなどの洋服を合わせ、ベストやジャケット・カーディガンを羽織りましょう。
6〜18歳頃(小学生・中学生・高校生)のお葬式の服装
6〜18歳頃の小学生・中学生・高校生の子どもで、学校指定の制服がある場合は、お葬式で学生服を着用するのが最適です。
制服がない場合は、フォーマルな装いを意識して、男の子は白いシャツを必須とし、男女とも黒・濃紺・グレーなどのモノトーン系の落ち着いた色合いでコーディネートしましょう。
18〜20歳頃(大学生)のお葬式の服装
18〜20歳頃(大学生)の場合は、大人と同じように漆黒の喪服を着用します。急なお通夜で喪服が用意できない場合は、黒・紺・グレーのスーツなどの略喪服で参列しましょう。
2022年4月、成人年齢は20歳から18歳へ引き下げられたため、大学生や18歳以上の方は大人としての服装や身だしなみを意識するのがおすすめです。 出典:18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。(政府広報オンライン)
子どものお葬式の服装における3つの注意点
子どものお葬式の服装では、気をつけるべき3つの注意点があるため、マナー違反にならないよう、事前にしっかりとチェックして対策しましょう。
- ①葬式では子どもが避けなければならない服装がある
- ②お葬式の子どもの服装では清潔感と質素感に注意する
- ③お葬式では季節に応じて子どもの服装に工夫する
①お葬式では子どもの着用を避けなければならない服装がある
子どもがお葬式へ参列する際は、次のような服装がマナー違反にあたるため、周囲へ不快な思いを与えたりトラブルになったりしないように注意しましょう。
- ・色柄:赤・ピンク、蛍光色、多色使いなどの鮮やかな色合い
- ・柄:目立つキャラクターやロゴ、お花の総柄などの派手な柄
- ・素材:光沢のあるサテン・ナイロン・ベロアなどの生地や、動物の殺生を連想させる毛皮・皮革などの素材
- ・デザイン:Tシャツ・デニム・スポーツウェア・ミニスカート・オーバーサイズなどのカジュアルなもの
- ・装飾:目立つフリル・レース・リボン、ダメージ加工など
②お葬式の子どもの服装では清潔感と質素感に注意する
お葬式の子どもの服装は、清潔感を重視し、靴や靴下まで、汚れ・シワ、ほつれ・毛玉などに注意し、アイロンをかけて、きちんと整えておくことが大切です。
また、結婚式やお祝い事とは違い、お葬式ではお洒落が不要なため、特に女の子の場合は、可愛らしさを優先しすぎてマナー違反にならないよう、質素さを重視しましょう。
③お葬式では季節に応じて子どもの服装に工夫する
お葬式では、季節に応じて次のような暑さ対策や寒さ対策も検討して、子どもが体調を崩さないように気をつけましょう。
夏場なら、接触冷感のインナーや白いポロシャツなどの半袖シャツを着用する暑さ対策が必要ですが、冷房への備えとしてカーディガンなどの上着を用意しておくと安心です。
斎場や宿泊施設によっては寒暖差があるため、季節の変わり目や冬場も同じように、重ね着しやすい上着や黒・紺などのタイツを用意する工夫をしましょう。
具体例:お葬式の子どもの服装のポイント
お葬式の子どもの服装について、具体例として押さえておきたいポイントについて解説します。
学生服を喪服にする場合のおすすめポイント
お葬式で学生服を喪服にする場合は、制服のままで問題ありませんが、次のように赤みがあるアイテムは黒や紺に変更することで、葬儀にふさわしい装いに仕立てられます。
- ・赤みのあるブレザーやズボン・スカートは、黒・紺・グレーなどのアイテムに変更するとよい
- ・赤みのあるリボンやネクタイは黒や紺に変更するとよい
男の子のお葬式の服装のおすすめポイント
男の子は、白い襟付きのシャツを基調にして、黒・紺・グレーのアイテムをコーディネートすると、お葬式向けの服装になります。
- ・シャツ:白
- ・パンツ:黒・紺・グレー
- ・ジャケット・カーディガン:黒・紺・グレー
- ・靴下:黒・白・紺・グレー
- ・靴:ローファーや白・黒・紺・グレーのスニーカー
女の子のお葬式の服装のおすすめポイント
女の子は、白または黒のブラウスに黒・紺・グレーのアイテムを組み合わせますが、足元に黒い靴下やタイツを用いることで、葬儀に最適な服装になります。
- ・ブラウス:白・黒
- ・スカート・ワンピース:黒・紺・グレー
- ・ジャケット・カーディガン:黒・紺・グレー
- ・靴下・タイツ:黒・白・紺・グレー
- ・靴:ローファーや白・黒・紺・グレーのスニーカー
赤ちゃんのお葬式の服装のおすすめポイント
赤ちゃんとお葬式へ参列する際は、一般的にベビーカーを利用することも可能なため、上掛けのブランケットやバスタオルまで色柄を意識しておくのがおすすめです。
- ・ベビー服や靴下を黒・白・紺・グレーなどのモノトーン系の色合いで統一する
- ・無地でモノトーン系のブランケットやバスタオルを用意しておく
子ども用喪服の費用とレンタルの選択肢
子どものお葬式の服装は、喪服に最適なパンツやワンピース・スカートを購入する以外にもレンタルの選択肢もあるため、費用や考え方について解説します。
子どもの喪服の相場と選び方
喪服 | 相場費用 |
購入する場合 | 5,000〜15,000円程度 |
レンタルの場合 | 4,000〜8,000円程度 |
子ども用の喪服は、購入してもレンタルで借りても、大きな差額はないため、メリットやデメリットを比較して検討するようにしましょう。
子ども用喪服のレンタル衣装と購入する場合のメリットとデメリット
購入する場合
- ・メリット:新品のため不快感がない・予算に合わせて選択できる・弟や妹へ譲れる・リサイクルで売却できる
- ・デメリット:成長すると着られない・クリーニングが必須
レンタルの場合
- ・メリット:コーディネートを考える必要がない・成長に合わせて選択できる・返却時のクリーニングが不要
- ・デメリット:新品ではないため難ありの可能性がある・返却の手間がかかる
子どもは大人とは違い、成長によって特定の喪服を繰り返し着用する回数が少ないため、購入するかレンタルにするかを慎重に考える必要があります。
先々のメリットやデメリットまで、費用や用途をよく考えてから選択し、いずれの場合も試着や口コミをよくチェックしてから判断しましょう。
ユニクロや西松屋の子ども用喪服について
子ども用喪服は、ユニクロなら1万円程度、西松屋なら5千円程度と、リーズナブルに全身のコーディネートが可能なため、お手頃でおすすめといえます。
冠婚葬祭向けのお出かけ着は、永くほかの用途でも着用できるようにと考えがちですが、お葬式ではオーバーサイズに注意し、光沢を抑えた漆黒に近い暗いトーンの洋服を選びましょう。
お葬式における子どもの服装以外の身だしなみ
お葬式では、服装以外にも気をつけるべき身だしなみがあるため、ポイントを押さえて解説します。
お葬式に最適な子どもの髪型
お葬式では、子どもも大人と同じように髪型を整える必要があり、次のような注意点があります。
- ・染めている茶髪は黒髪に戻す
- ・お辞儀をしたときに乱れない短髪ならそのままでよい
- ・結べる長さの髪は、耳より下の低い位置で後ろに一つに結ぶ
- ・整髪剤は無香料として艶が出ないよう少量使用する
- ・ヘアアクセサリーは黒・紺のヘアゴムとプレーンのヘアピンのみとする
男の子は、七三分けやセンター分けに整えるのもおすすめですが、ジェルやワックスで艶が出ないように注意しましょう。
女の子は、肩につくような長い髪は低い位置で一つ結びにし、ショートヘアでもお焼香やお辞儀で乱れないよう、耳にかけたりヘアピンで留めたりする気配りが大切です。
お葬式で気をつける子どもの身だしなみ
お葬式では、次のように指先から足先まで、清潔感のある身だしなみに整えましょう。
- ・爪を切って指先まで清潔にしておく
- ・メイクはせずに無色のリップのみとする
- ・靴は汚れのないものとして革靴は磨いておく
- ・アクセサリーは不要
お葬式で必要な子どもの持ち物
お葬式へ親と参列する際、子どもが必要な持ち物は次の3つだけですので、ポケットに入れておくと良いでしょう。
- ・ハンカチ
- ・ティッシュ
- ・数珠(仏式の場合)
子どもはバッグを持つ必要がなく、女の子でもフォーマルバッグは不要です。学校帰りなどに参列する場合は、学校指定のバッグなら持参しても問題ありません。
なお、仏式では、自分専用の数珠を持つことがお葬式の大切なマナーのため、大切に扱える10歳頃になったら購入を検討するとよいでしょう。
お葬式に子どもを連れて行くときの心構え
親として、お葬式に子どもを連れていくときには、あらかじめ知っておくべきメリットやマナーがあるため、必ず目を通して知識を学んでおきましょう。
子どもを葬儀に連れていくメリット
子どもを葬儀に連れていくことには、子どもにとって社会体験や学びとして役立ち、次のような多くのメリットがあります。
- ・死を通じて命の大切さを学べる
- ・祖先や親への感謝の気持ちを育める
- ・お葬式の知識や地域の風習を学べる
- ・社会的な場としてマナーを習得できる
- ・親族などとコミュニケーションを図れる
お葬式は子どもにとって、精神的な成長に役立ち、社会的な知識やコミュニケーションを学べる重要な機会のため、親としてぜひ積極的に参列させてあげましょう。
子ども連れに必要な親としてのお葬式の準備と心構え
子ども連れでお葬式へ参列する際は、親として次のような準備と心構えをしておきましょう。
- ・あらかじめ遺族や周囲へ子どもと参列することを伝えておく
- ・事前に斎場のキッズスペースや授乳環境の施設や設備をチェックしておく
- ・子どもへ私語を慎み行儀よく過ごすことを教えておく
- ・子どもへお悔やみの言葉やお焼香の礼儀作法を教えておく
- ・赤ちゃんや幼児には音の鳴らないおもちゃを持参する
- ・葬儀中に離席しないよう事前にトイレを済ませておく
お葬式後は子どものケアを忘れない
初めてのご遺体との対面やお葬式への参列は、子どもにとって衝撃的な体験となり、火葬や拾骨に至るまで、ショックや恐怖を覚えるケースも少なくありません。
子どもにとっては、長時間、静かに慎ましく過ごすこと自体が、大きな課題となるため、お葬式中は声がけをしながら、葬儀後はしっかりとケアしてあげましょう。
故人のための法事・法要や、納骨・お墓参りなど、お葬式後の供養について説明したり、行事へ参加させたりすることもアフターフォローの一環として役立ちます。
お葬式の子どもの服装についてよくある質問
お葬式における子どもの服装でよくある質問をご紹介しますので、気になる項目をチェックして、疑問や不明点の問題解決にお役立てください。
お葬式で制服を着用する子どもはどのくらいの割合なの?
2010年の調査では、中学生の74.8%が冠婚葬祭で制服を着用していると回答しているため、学生服のある子どもは、おおよそ7〜8割がお葬式で制服を着用しているといえるでしょう。
出典:「制服があって良かったこと」(カンコー学生服公式サイト)
なお、同社の最新の調査結果によると、小学生では学生服がないのが約7割で、制服の有無は地域によって大きな差があることが判明しています。 出典:小学校の制服の有無(カンコー学生服公式サイト)
身内だけの家族葬なら子どもは私服でもいい?
身内だけの家族葬でも、故人や遺族への配慮から、大人は喪服を着用し、子どもも大人と同じように正装を意識した服装にするのが基本マナーです。
斎場や火葬場には、ほかの葬儀の参列者もいる前提で、服装や身だしなみには配慮が必要といえるでしょう。
なお、最新の調査結果によると、家族葬は葬儀全体の半数を占め、約7割が身内のみなどの小規模なお葬式となっています。
お葬式の子どもの服装で茶色はダメ?
お葬式の子どもの服装では、制服なら茶色や黄色が入っていても正装となるため、ぜひ制服で参列してください。
私服の場合、黒に近い暗いこげ茶色なら問題ありませんが、赤みの強い茶系や明るい茶色の場合は控えた方が無難といえるでしょう。
まとめ:子どものお葬式の服装は3つの注意点に気をつけてマナーを守りましょう!
子どものお葬式の服装について、喪服として最適な服装や注意点をはじめ、服装以外の身だしなみや親としての心構えについても解説しましたが、まとめると次のとおりです。
- ・お葬式の服装は、子どもも大人と同じようにマナーがあり、故人への敬意と弔意を表し、遺族や参列者へ配慮して、厳粛なお別れの儀式の雰囲気を乱してはならない。
- ・子どもはお葬式で制服を着用するのがベストで、制服がない場合は白いシャツと黒・紺・グレーの洋服でコーディネートするとよい。
- ・子どものお葬式の服装では、派手な色柄、光沢、毛皮・皮革の素材や、カジュアルなアイテムを避け、清潔感と質素さを重視する。季節やエアコンへの対策も忘れない。
- ・子ども連れでお葬式へ参列する際は、親として事前に遺族や周囲へ連絡をしたり斎場の施設や設備をチェックするほか、子どもへ礼儀作法を指導し、葬儀後は精神的なケアを忘れない。
弘善社では、北海道の旭川市・北見市・網走市の葬儀を承っており、キッズルームや授乳環境を整え、子ども連れでも安心して参列できる斎場を運営しています。
疑問やお悩みについて、無料相談に対応していますので、お葬式の子どもの服装やマナーなど、気になることがございましたら、どうぞお気軽にお問い合せください。