終活のこと
散骨と樹木葬の違いって?〜北海道の散骨と樹木葬事情
みなさんこんにちは。
暖かな陽気が続いて徐々に初夏の陽気になってきましたね。
皆さん体調にお気を付けください。
さて、最近新聞や雑誌で「樹木葬」についての記事を見かけるようになりました。
北海道でもいくつか樹木葬ができる霊園があります。
お墓や納骨堂ではない、新しい埋葬のカタチである「樹木葬」。
今回は「樹木葬」と、それと一緒に語られることが多い「散骨」について書いてみます。
変わるお墓事情
まず、これまでの一般的な埋葬のカタチである、「お墓」について振り返りをしてみましょう。
お墓も変化の中にあります。
1960年以降、都市化、核家族化の進展により、都市圏では墓地の需要が増大し、公営霊園だけでなく、民間の霊園開発が盛んに行われました。
しかしその一方では、地方の寺院墓地が過疎化の影響を受ける、といったように、都市と地方のお墓が対照的な様相を呈するようになりました。
また、明治時代末期以降の「家墓」形態は、核家族化、少子化が進むことにより無縁化を招き、今となっては新たな承継の問題が生じています。
お墓の承継問題
承継問題についてはボクのブログでも何度か取り上げました。
お墓や納骨堂のこと、ひいてはお寺さんとのお付き合いも、子供たちの世代にどう承継するのか?あるいは承継しないのか?という問題です。
・お子さんがいるのか?
・お子さんがいても女の子ばかりではないか?
・お子さんがいても遠方に住んでいないか?
という条件によって変わってくると思います。
承継問題は、ある意味葬儀自体よりも難しいと思います。葬儀はやってしまえばお終いですが(乱暴な言い方でごめんなさい)、お墓や納骨堂はずっと守っていくものだからです。
承継に問題が発生しそうであれば、「散骨」「共同墓に納骨」「墓じまい」「離檀」などが頭に思い浮かぶのではないのでしょうか?
散骨と樹木葬の違い
さて、やっと散骨と樹木葬のお話しです。
散骨や樹木葬は似たような形式に見えますが、実は法律面で大きく異なります。いずれにしても絡むのは墓地埋葬法と刑法です。まず、それらをご紹介しますね。
●墓地埋葬法
・1948年(昭和23年)公布
・死後24時間以内の埋葬または火葬の禁止(第3条)
・埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域にこれを行なってはならない(第4条1項)
→焼骨を埋蔵する場合には墓地に限るのであって、自宅での遺骨保管や散骨まで規制するものではないと考えられています。
・散骨について、厚生労働省は墓地埋葬法では言及していないとして態度を明らかにしていませんが、「散骨については、遺骨を棄てる目的ではなく葬送を目的として行われ、相当の節度を持って行われるならば違法とは言えない」という法律的解釈がなされています。
※「相当の節度」とは、遺骨を細かくすること(粉骨)、他人に迷惑をかけない場所を選ぶこと、穴を掘って埋めないことです。
※お骨を細かくせず、そのままの形で散骨したとすれば、下記の刑法第190条「遺骨遺棄」に問われる場合があります。
●刑法
・遺骨遺棄(刑法第190条)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
さて、散骨の法的解釈は「土に埋めないので墓地埋葬法では規定していない(厚生労働省)」「社会風俗に反しないような節度があるか否か、個別に判断する(法務省)」ということになっています。
このため、個人が勝手に自然の中に撒いたり、誰かの所有地に使用料を払って散骨することも可能になります。
一方、樹木葬は山に遺骨を埋めてその上またはその近くに気を植えるというものです。
厚労省では「土の中に埋めるなら埋葬になるので墓埋法の規定通り墓地として都道府県から許可を得る必要がある」と話しています。
あるお寺の場合は、山全体を墓地として許可を得ているので遺骨を土の中に埋めることができます。
これに対し、墓地の許可を取らずに遺骨を一定範囲に撒いて(埋めないで)中心に木を植える「散骨樹木葬」といった形態も登場しています。
一方、散骨であったとしても、場所が特定できれば通常の墓と同じという意見や考え方もあるので慎重に行うことが求められます。
以下にそれぞれの違いをまとめますね。
●樹木葬
・墓地埋葬法による許可を得た墓地に遺骨を埋葬し、樹木を墓標として弔う方法です。
・自然の里山を生かし、遺骨を埋葬するたびに苗木を植える方法、墓地の中央にシンボルとなる樹木を植え、その周辺に遺骨を埋葬する方法などがあります。
・名前は同じ「樹木葬」でも形式は様々ですので、現地でよく確認することが大切です。
●散骨
・全部の遺骨を散骨したことで後悔される遺族もいます。
・当社では、粉骨の時点、散骨の時点それぞれでご家族の同意書を提出していただいております。(不可逆性:元に戻せない)
・全てのお骨を散骨するのではなく、一部にしておいた方が良い。
・撒く場所も課題があります。(他人の所有している場所は不可です。私有地のみならず、国有地、道有地も不可です。)
・「なぜ散骨したいのか?」を考える。
さて、いかがでしたでしょうか?
お骨のお弔い方は様々です。大事なのはご家族皆様の意思であり、、それとその意思を継ぐ方の想いではないかな、と考えます。
色々な選択肢がある中で、納得のいく方法が見つかるといいですね。
ご相談があれば忌憚なくご連絡くださいね。